第209話 美鈴も涼羽ちゃんも、ほんとに可愛いわ~
「涼羽ちゃ~ん♪えへへ~、幸せ~♪」
「…もう…美鈴ちゃんったら…」
美鈴の自室で、美鈴とお揃いの服に着替えさせられた涼羽。
今は、食事も含め家族の団欒を行なうリビングに戻り、美鈴にべったりとされている。
まるで実の両親である正志と美里に見せ付けるかのように、美鈴は涼羽のことをぎゅうっと抱きしめ、生まれて間もない幼子のようにべったりと甘えている。
そんな娘の姿を、父である正志も母である美里も、まるで天使に出会えたかのような幸福感に満ち溢れた笑顔を浮かべながら、すぐそばで優しく見つめている。
美鈴にべったりと甘えられている涼羽は、今の美鈴とお揃いの服を着て女装した姿を無遠慮に正志と美里に見つめられていることもあって、恥ずかしそうに頬を染めながら、されるがままとなっているのだが、自分に心底嬉しそうにべったりと抱きついて甘えてくる美鈴が可愛く思えてきたのか、言葉ではついつい美鈴を責めてしまうような口調になりながらも、いつもの母性的で女神のような笑顔が、涼羽のその童顔な美少女顔に浮かんできており、母に甘える幼子のように自分に甘える美鈴のことを優しく包み込むかのようにそっと抱きしめ、その頭を優しくなで始める。
涼羽に甘えるのが大好きな美鈴は、涼羽がそんな風に自分のことを甘えさせてくれるのを感じると、その無邪気で天真爛漫な笑顔を、ますますにこにことさせてしまう。
そんな顔を涼羽の肩口に埋めて、涼羽のことを独り占めするかのようにべったりと抱きついたまま、美鈴は涼羽にますます甘えてきてしまう。
「もお~♪見てると本当の姉妹みたい~♪こんなにも可愛い二人が、こんなにもべったりと触れ合ってるなんて、見てるだけで心が癒されてくるわ~♪」
「あ~、二人共なんて可愛らしいんだ…こんなにも可愛い子供二人の父親になれるなんて思うと、僕はもう幸せになる未来しか見えないよ」
まるで歳の近い姉妹であるにも関わらず、幼げながらしっかり者の姉が、無邪気で天真爛漫な妹を甘えさせているようにしか見えない涼羽と美鈴のやりとりに、美里も正志もデレデレとした表情を隠せないでいる。
美鈴は実の子供であるため、現在進行形で親として可愛がっているのだが、そこに涼羽が加わってくれたら、なんて思うと、もう本当に幸せいっぱいな未来しか見えないとまで断言できるほどとなっている。
「涼羽ちゃん♪涼羽ちゃん♪もっと私のこと、ぎゅうってして、なでなでして~♪」
「美鈴ちゃん…俺と同い年なのに、こんなに甘えん坊でいいの?」
「いいの♪涼羽ちゃんが甘えさせてくれなくなるなんて、絶対にやなの」
「だめだよ、美鈴ちゃん。いつまでも甘えん坊じゃ」
「や~♪涼羽ちゃんが甘えさせてくれなくなるくらいなら、ずっと甘えん坊の方がいいもん」
「…美鈴ちゃん、ほんとに甘えん坊なんだから…」
実の両親に、幸せそうな笑顔を浮かべながらじっと見られているにも関わらず、美鈴は涼羽にべったりと甘えるのが幸せで、心地よくてたまらず、ますます幼げな雰囲気になりながら、涼羽にべったりと甘えて離そうとしない。
そんな美鈴を咎めるような言葉を、優しげな口調で声として響かせ、美鈴に言い聞かせようとする涼羽。
しかし、涼羽に甘えたくて甘えたくてたまらなくて、涼羽に甘えることがこの世で一番の幸せだとまで思っている節のある美鈴が、涼羽のそんな言葉だけで甘えん坊をやめてくれるはずもなく、逆にもっともっとと、涼羽に甘えてくる始末。
それに、涼羽も言葉と口調では甘えん坊から卒業させようとはしているのだが、行動ではひたすら美鈴のことを実の母親であるかのように優しく包み込み、その頭を優しくなで続けているのだから、いまいち言葉に説得力がない状態と、なっている。
ましてや、甘えられることが嬉しいのか、本当に優しい笑顔を浮かべたままとなっているのだから、美鈴がこんな風に涼羽に甘えてしまうのも無理はない状態となっている。
「ふふ…美鈴も涼羽ちゃんも、ほんとに可愛いわ~」
「ああ…こんなにも天使のような二人が、こんなにも仲睦まじく触れ合ってくれているなんて…見てるだけで幸せな気持ちがどんどん溢れてくるよ…」
自分達の目の前で、あまりにも可愛いやりとりを披露してくれる涼羽と美鈴が本当に可愛らしく思えて、ますます美里と正志の笑顔に幸福感が増していく。
こんなにも幸せそうに、可愛らしく、まるで実の姉妹であるかのように仲良く触れ合ってくれる涼羽と美鈴のことを、すぐにでもぎゅうっと抱きしめて、めちゃくちゃに可愛がってあげたくなってしまっている。
涼羽と美鈴が結ばれたら、毎日こんな光景を目にすることができる、などと思うと、本当に涼羽には美鈴のいい人になってほしいと、心の底から願ってしまう美里と正志。
恋愛ということに関してはまるで無知で、関心もない涼羽であるだけに、美鈴がどれだけ涼羽に自分のことをアピールできるか、とは思ってしまうのだが。
「涼羽ちゃん♪」
「なあに?」
「だあい好き!」
「ふふ…ありがとう」
「涼羽ちゃんは、私のこと好き?」
「うん、大好き」
「!嬉しい!涼羽ちゃんだいだいだいだいだあ~~~い好き!」
まるで幼子のように、無邪気に涼羽に甘えている美鈴。
涼羽に甘えながら、涼羽のことが大好きだと、すでに言葉でも行動でも何度も伝えていることを、まだまだ足りないと言わんばかりに、それが当たり前であるかのごとくに伝えてくる。
そんな美鈴が可愛いのか、涼羽も優しいにこにこ笑顔を浮かべながら、お礼の言葉を声にする。
そして、自分のことが好きなのかと、知っていることをあえて言葉で欲しがるかのように聞いてくる美鈴に対し、さらりと笑顔で大好きだと告げてくる涼羽の言葉があまりにも嬉しくて、美鈴は天にも昇るような心地よさを感じながら、ますます涼羽にべったりと甘えて、まるで離そうとする様子が見られなくなってしまっている。
お揃いのコーデに身を包んでいることもあって、本当に美少女同士の仲睦まじい触れあいにしか見えず、周囲からすれば目の保養となること間違いなしなその光景。
現に、そんな光景をすぐそばで見ている美里と正志の二人は、涼羽と美鈴の幸せをおすそ分けしてもらっているかのように、心温まる幸福感に満たされながら、二人の可愛らしさに身悶えてしまっている。
「うふふ、じゃあ涼羽ちゃんは、お母さんがい~っぱい甘えさせてあげるから…ね?」
同い年の美鈴をまるで幼子を包み込むかのように、うんと甘えさせながら笑顔を浮かべている涼羽の姿を見て、その母性をくすぐられ続けていた美里がもはや我慢ができなくなったのか、涼羽の後ろからそっと包み込むかのように、涼羽のことを美鈴もろとも抱きしめてくる。
「!ぼ、僕…そんな小さな子供じゃ…」
甘えさせることに喜びを感じることができても、自分が甘えることには非常に抵抗感を感じてしまう涼羽は、周囲の大人にいつもこういう風にされているにも関わらず、未だにそんな可愛らしい抵抗を、反射的にしてしまう。
それでも、抵抗らしい抵抗はその言葉だけで、美鈴をそっと抱きしめて甘えさせていることもあって、身動き一つ取れないでいる状態である。
「涼羽ちゃんってほんとに可愛くて、天使みたい。うちの美鈴をこんなにも優しく包み込んで、甘えさせてくれるなんて…美鈴がこんなにも幸せそうな笑顔を浮かべてるなんて…」
「ぼ、僕…そんな、可愛くなんか…」
「ううん、ほんとに可愛いわ。こんなにも美鈴のこと、大切にしてくれてありがとうね、涼羽ちゃん」
「み、美鈴ちゃんはほんとに可愛いですから、つい…」
「もお、ほんとに嬉しいこと言ってくれるのね、涼羽ちゃんったら。だったら、私も涼羽ちゃんのこと、う~んと甘えさせてあげたいから、ね?」
「!だ、だめです…僕、男ですし…」
「もお…こんなにも可愛らしい女の子にしか見えないのに?変なところで頑固なのね、涼羽ちゃんって。でも、そんな涼羽ちゃんもほんとに可愛いわ~」
涼羽があまりにも自然に、壊れ物を扱うかのように大切そうに美鈴のことを包み込んでくれているのを先ほどからずっと見ていた美里は、ますます美鈴が涼羽のことをもらってくれたら、などという思いを強くしてしまう。
そして、自分の可愛い娘である美鈴をここまで大切にしてくれる涼羽のことが本当に愛おしく、大切に思えて、ますます可愛らしく見えてきてしまう。
涼羽のことをその小さく華奢な背中からそっと抱きしめると、美里はまるで幼子にそうするかのようにその頭をなで始める。
そして、まるでわが子にそうするかのように、涼羽の頭や頬に頬ずりまでしてしまう。
そんな美里の甘やかしに、涼羽はその身体をびくりと震わせながら、儚い言葉での抵抗をしてしまうものの、美鈴と美里の両方にぎゅうっと抱きしめられていることもあって、身動き一つ取るのも困難な状況になってしまっている。
そんな涼羽を愛おしげに、まさに涼羽が美鈴にそうしてくれたように、美里は涼羽のことをまるで壊れ物を扱うかのように大切に、それでいてぎゅうっと抱きしめ、ただひたすら、涼羽のことを包み込んで、うんと甘やかしていく。
あくまで自分は男であり、もうそんな小さな子供ではないからと、そんな抵抗の言葉を反射的に声にしてしまう涼羽のことを、変なところで頑固だとは思うものの、そんな姿もまた可愛いとさえ思えてしまっている美里。
むしろ、こんな風に涼羽のことを甘えさせていることで、自分の方が幸せになれているかのような、そんな幸福感がどんどん自分の中で満たされていくのを、美里は感じてしまっている。
だからこそ、その幸せを手放したくなくて、ますます涼羽のことを掌中の珠のように大切に、めいっぱい甘えさせていく。
美里は、本当に涼羽のことが実の子供のように思えて、ますます涼羽に対する愛おしさがこみ上げていくのを自覚し、それを自覚することで、ますます自分の心が幸せで満たされていくのを、感じるのであった。
「あ…あの…は、離して…」
「え~、涼羽ちゃんったらなんでそんないけずなこと言うの~?」
「そうよ、涼羽ちゃん。私達、こんなにも涼羽ちゃんのこと大好きなのに」
「は、恥ずかしい…」
「だあめ♪涼羽ちゃんは私だけの涼羽ちゃんなんだもん♪だから、ず~っとこのままがいいの♪」
「うふふ、お母さんも涼羽ちゃんのこと、い~っぱいぎゅうってしてあげたいの。だから、だあめ」
クラスメイトの女の子と、その母親にべったりと抱きつかれて可愛がられて、ずっと恥ずかしくて恥ずかしくてどうしようもなくなっている涼羽が、またしても儚げな抵抗の言葉を声にしてしまう。
当然、美鈴と美里がそんな涼羽の言葉を素直に聞き入れてくれるはずもなく、逆にますます涼羽のことが可愛くて、ぎゅうっと涼羽のことを抱きしめる腕に、より力が入ってしまう。
「うふふ、涼羽ちゃんってほんとに抱き心地よくて、ほんとにいい匂い。お母さん、涼羽ちゃんのこともっとも~っとぎゅってしたくなっちゃうわ~」
「!や、やめてください…そんなこと…言わないで…」
「もお~、涼羽ちゃんのことい~っぱい褒めてるのに。涼羽ちゃんったらなんでそんなに恥ずかしがりやさんなのかしら?」
「そうそう!涼羽ちゃん私がいっつも褒めてるのに、い~っつも恥ずかしそうな顔していやいやしちゃうんだから!」
「だ…だって…俺…男だし…」
「うふふ、そうよね。涼羽ちゃんは男の子よね。こんなにも女の子の服装が違和感なくて、可愛すぎる男の娘なのよね」
「えへへ、涼羽ちゃんはす~っごく可愛くて、女の子らしくて、こんなにもお母さんみたいだけど、男の娘だもんね!」
「!や、やめて……」
べったりと涼羽に抱きついたまま、涼羽の抱き心地のよさ、芳しい匂いを思う存分堪能する美里。
容姿はもちろんのこと、性格も本当に健気でお淑やかで可愛らしく、愛される要素しかない涼羽のことを、いつまでも可愛がってあげたくなってしまっている。
美里も美鈴も、自分達の一言一言に儚げな抵抗の声をあげる涼羽が可愛くて可愛くてたまらず、ついつい意地悪さが顔を出してしまい、涼羽のことを女の子としてやたらと褒めちぎってしまう。
それも、涼羽が抵抗の声をあげればあげるほど。
「は~…僕は今、まさに天国にいるかのような気分だよ…」
美里と美鈴、そして涼羽がこんなにも仲睦まじく触れ合っているその光景は、正志にとってはまるで天国にいるかのようなものとなっているらしく、先ほどからゆるゆるに緩んだ、だらしない笑顔を浮かべながら、ずっと三人のやりとりを見つめている。
特に涼羽に関して言えば、まるで可愛い息子と娘がいっぺんにできたかのような感覚になっているため、何が何でも美鈴のいい人になってほしいと、つくづく思わされている。
「涼羽ちゃん」
「な、なんですか?…」
「だあい好き」
「!あ、ありがとうございます…」
「うふふ、ねえ、涼羽ちゃんは、お母さんのこと好き?」
「!……す……」
「なあに?」
「………す………好き………ですよ………」
「うふふ、涼羽ちゃんに好きって言ってもらえて、お母さん嬉しいわ~」
先ほどの、涼羽と美鈴のやりとりを再現するかのように、美里は涼羽に嘘偽りない、本当に素直な気持ちで、大好きだという言葉を声にして向ける。
いきなりそんなことを、クラスメイトの母親に言われて、しどろもどろになりながらも、お礼の声を返す涼羽。
そして、美鈴と同じように自分のことが好きかと問いかけてくる美里に対し、恥ずかしい思いでいっぱいになりながらも、涼羽は自分を包み込んでくれる相手をむげにできないと思い、搾り出すかのように美里が望む言葉を声にする。
そんな涼羽がますます可愛らしく思えて、美里の整った美人顔に、言葉通りの嬉しそうな笑顔が浮かんでくる。
そして、ますます涼羽のことをめいっぱい可愛がろうと、より自分の腕の中にいる涼羽の身体をぎゅうっと抱きしめ、その頭を優しくなで続ける。
「えへへ~♪涼羽ちゃん可愛い~♪」
そんな母、美里と負けじと美鈴も、涼羽にべったりと抱きついて、その頬にすりすりと頬ずりをしながら、涼羽の抱き心地や芳しい匂いなどを思う存分に堪能している。
涼羽のことが本当に大好きで大好きでたまらない美鈴は、普段からこんな感じで涼羽にべったりとしているのだが、今日この日に関しては涼羽が自分の自宅に来てくれていることもあり、普段よりももっとべったりとしてしまっている。
「は…恥ずかしいよ…」
美鈴と美里に思う存分に可愛がられて、涼羽はその恥ずかしさが際限なく自分の中からあふれ出てくるのを感じてしまい、しかししっかりと自分の身体に抱きつかれているため、身動きらしい身動きを取ることすら、できなくなっている。
恥ずかしがって、ふいと自分達から顔を逸らしてしまう涼羽が可愛くて可愛くてたまらず、美鈴も美里もより愛情いっぱいに、少し意地悪な感じで涼羽のことを可愛がってしまうので、あった。
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