第26話 ナイヤポートの誘惑

甘い香りに誘われ、つい手を伸ばしてしまった。

香りの主は、その名もナイヤポート。


秋のスーパーを何気なく歩いていると、吸い寄せられるほど芳しい果実が。そのまま香水にしたら、騙されそうなほど。それはぶどうでした。


普段、ぶどうはちょっとお高いので素通りしてしまうのですが、すでに手遅れ。甘い香りが神経神経まで染みて、離れられない。

これは必然、と買ってしまいました。


手に取ったのは、秋田産の青いぶどう。バーコードのシールに書かれていたので、「ナイヤポート」はおそらく品種名だと思います。きっとナイヤガラと親戚でしょう。

甘いだけでなく、酸味も効いて、とても美味しいです。秋田のぶどうを覚えてしまいました。


必然と書きましたが、実は〆切目前の文章は「甘い」をキーワードにしているんです。でも物語は甘いだけじゃ物足りない。これから苦味や毒味を足そう、と思いながら今日はおしまい。


たぶん寝たら、ぶどうの夢を見るでしょう。決して毒など入っていませんように。

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