急に起こるは天災事
「うー・・・もう、めんどくさい!思いっきり行く!!」
"天災"さんが叫ぶその言葉を聞いた瞬間、条件反射のごとく自身とお荷物・・・ではなく、お偉いさんを囲う様に防御壁を展開し、この後に起こるであろう災害に対しての対応を行っていた。
そうして、防御壁を展開し終わったと同時ぐらいに、衝撃という振動が自分たちに襲い掛かってきた
「な、なんだ?」
「うおぉぉ!?」
「!!!」
まるで地震とでもいうべき振動が続き、しばらく身体が揺らされ続け、周囲には砂煙ともいえる物が防御壁の外から襲い掛かろうとしていたが、防御壁をよけるかのように周囲へと飛び散っていた。
その防御壁の中にいる三人は、その外側にある砂煙で周囲の状況がよくわからないままでいたが、防御用に張った魔法壁の内部にいる限りは多少なりとも耐えれると思っていた。
が、天井部分の防御壁に、石の塊があたるまでは
上を見上げてみると、いくつもの石材とも岩とも呼べるものが今にも落ちてきそうなほど、天井から剥がれ始めているのが目に入った。
・・・まずいまずいまずいまずい!!
「走れぇぇぇぇ!!走れぇ走れぇ!!」
「な、なんだ?!」
「おい、お前!!」
「いいから走って!!天井が崩れ落ちてくる!!」
貴族のお偉いさまの二人の背を無理やりにでも押しだすように通路口へと押しやりながら走りだすしかなかったが、何が何だかわからないままの二人も、お偉いさま二人が天井へと視線をむけると、自らの足で走り始めてくれた。
ようやく窮地という事を理解したのか、死に物狂いという表情で通路へと走り出していった。
続けて、少しでも崩落を抑えれる様にと、天井側へと魔防壁を展開させて逃げる通路を確保する
そうこうして走り去った後には、鈍い音とともに巨大な岩が展開していた魔防壁を押しつぶす様に崩れ落ちていった
*********
必死という言葉がよくわかる程に、あれからどれくらいの時間を走り続けたのかわからない。
魔物が出てきたとは思うが、今はかまってる暇はない・・・
崩落が徐々にこちらに聞こえてきているのだから、その足を止めての戦闘なんてやっていられない。
魔防壁を障害物として設置して、ほんの数刻だけでもこちらにこれないさまにするのが精一杯だ。
そんなこんなと、何十回繰り返し、とにかく上へと向かうべく走り、日の光らしきあかりが見えた先、そのあかりの元にたどり着いたとき、ようやく外に出れた実感し、三人は息を荒げながら、地面の草わらへとその体を投げ出していた
「もう、無理だ・・・走・・・れん・・・・」
「おれも・・・だ・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
何も答えれない、返す言葉も気力もない。
ないが、見える場所は、戦場を見下ろす恰好になっている丘付近だった。
「こ・・・こんな近くに・・・ダンジョンなんて・・・」
「俺様も・・・知らんぞ・・・」
そういえば、"天災"さんは・・・?
と、今来たダンジョンの入り口を見てみるも、それらしい気配も内容もないまま、地響きとでもいう振動と音が自分たちの場を揺らし、いま先ほど出てきたダンジョンの入り口を天井から崩れ落ちてふさいでいった・・・
"天災"さん・・・まさか・・・ね・・・
崩れ去ったダンジョンの入り口を、息を整えようとしながら眺めみているが、そこから人が出てくる様な気配なんて物はなかった。
「飯屋ぁ!」
そう、いつもの様に自分の事を名前で呼ばず、飯屋とか言ってきていた"天災"さんは、あのダンジョンの
「飯屋ぁ!って」
・・・空耳・・・?
まさかと、声の聞こえる方を振り向いくと、そこにはいつも通りの"天災"さんが立ってた。
それも、何事もなかったかのように普通に
「飯屋!わたし、かったぞー!」
と、勝利を表すために「おー!」という掛け声とともに大剣を掲げては、こちらに向けて仁王立ちしていた。
頂いたマントには、無数の切り傷が残ってはいるが、本人はまったくの無傷というか、魔物の返り血でちょっと引く程度かな・・・
そしてその足元に転がるのは、いくつものへの字に曲がりまくってもう元の状態はわからない「剣だったもの」と、剣才と呼ばれた人物がピクリとも動かない状態でいたりするという
あー、生きてるかなぁ・・・アレ・・・
「というか、なんで"天災"さんがここにいるの?」
「天才だし!」
「え、ああ、うん、そうだね。えーっと、あの思いっきりやるとか言ったよね?」
「言った」
「で、その後、どうしたの?」
「思いっきり地面叩いた」
「なんで叩いたの?」
「叩きたかったから?」
・・・頭痛い
意味がわからない、あの戦いの最中、そんな思考でやってたの?何なの?
いや、まてまて、これはいつも通りだ。
いつも通りの"天災"さんだ。何も間違ってはいない。そう、落ち着け自分、いいから落ち着け・・・深呼吸だ。
吸って・・・はいて・・・吸って・・・吐いて・・・よし
「それで、叩いたら、天井が崩れてきたよね?」
「天井?・・・ああ、なんか落ちてきたな!」
「それで、どうしたの?」
「落ちてきたから斬った」
「・・・」
ほら、お偉いお二人様が何言ってるんだコイツっていう顔してるじゃないですか。
あれ?何だろう・・・とてつもない既視感を感じるのは気のせいだろうか・・・
「そ、それでどうなしたの?」
「そしたら、上にあかりが見えたから、そこ行けばいいと思って飛んでみた
そしたら、外に出てこれたぞ!」
えーっと、まったくもって意味が分かりません。
ちょっとまってね?いま少し整理させてもらうと・・・
1)地面を思いっきりたたいた
2)天井が崩れてきた
3)崩れてきた天井をぶった切ったら外とつながった
4)なのでそっから出てきた
と、こんな所だろうか。
・・・・・・
・・・
「理解してたまるかぁぁぁ!俺の常識を返せぇぇぇ!!」
空に向かって盛大に叫ぶしかなかった
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