名無しの女

作者 八島清聡

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★★★ Excellent!!!

名前はないという女性と、憲兵隊長を務める少佐の恋物語。
淡々と紡がれていく物語は、最後のシーンへと集約されていきます。
これまで思い描いてきたものが、一瞬で覆される最後のシーン。
真暗な夜空を焦がす炎の色が目に見えるような。
映像が目に浮かぶような、心揺さぶられる物語。


★★★ Excellent!!!

 この女性には、本当は名前があったのでしょう。
 でもそれすら捨てて、心に決めた事を為す。

 糾弾する訳ではないですが、どんな正義を志そうとも、他人の命を奪えばそれは『悪』でしかない。その事を、この女性はわかっていたのでしょうか…?

 何ともやりきれない、だから物語は面白い。

★★★ Excellent!!!

戦争が終わり、代わりに反政府組織によるテロリズムの嵐吹き荒れる国。戦争の英雄で今は憲兵隊の最精鋭であるアレックス・バトラーはある夜、1年前に死んだ妻とどこか似た娼婦と出逢い、しだいに溺れていく。

こちらの作品のテーマは「別れの一瞬」ですが、そこまでの心情エピソードの積み上げかたが本当にすばらしいのです!

最後の最後で物語にはふたつの意味での“別れ”が訪れるんですが、過程で高まりゆく「悲劇のにおい」。それを嗅ぎ取っていながらも惹かれあうことしかできず、果たして別れゆく男と女。
後に残される真実――まさに極上のメロドラマ(あえてこう表現させていただきます)がここにはあるんですよ! 
それをたった1万字ちょいで成立させてるんですから、著者さんお見事! としか言い様がありません。

巧みな筆によって醸し出される余韻とにおい。ムーディーな悲恋をこの上もなくさらりと味わえる一作です。

(目を持って行かれた“テーマ”4選/文=髙橋 剛)