とあるエロゲシナリオライターの日常

作者 ひょうろくだま

平成が終わる今だからこそ読みたい、エロゲ業界の裏表。

  • ★★★ Excellent!!!

ゼロ年代、あるいは平成の中頃、オタク界隈で間違いなく花形と思われていた職業がある。
それが18禁ゲームのシナリオライターだ。その影響力は凄まじく、実際、その業界から誕生したゲームの派生作品がソーシャルゲームで爆発的売上を叩き出したり、業界出身のシナリオライターが人気アニメの脚本家として大ブレイクしたりと現在でもオタク業界に強い影響を残している。つまり平成という時代はIT技術が急速に加速した時代、そしてエロゲーが栄華を極めた時代と言っても過言ではないだろう。

……だが、全てのシナリオライターがそう華やかな活躍をしているわけではなく、肝心のエロゲー市場も現在は全盛期に較べ勢いを落としている。そんなエロゲー業界の裏話を赤裸々に語っているのがこのエッセイ。

ディレクターの無茶振りに翻弄されたり、原画化のワガママに振り回されたりと、声優と実際に会ったおかげでその声優のキャラでいたすのが難しくなったりと、辛い目に遭うことも多数ある。しかし、作者の人柄もあってか、苦しそうな内容でもそこまで湿っぽくはなっておらず、楽しくさっぱりと読めるのが大きな特徴。

直接的な仕事の内容以外でも、どうやったらシナリオライターになれるのか、お給料はいくらぐらいもらえるのか、フリーとメーカー勤務ではどのような違いがあるのかなど、気になる疑問についても細かく説明してくれているし、ここ十数年のエロゲー市場がどのように変わっていったかや、エロゲーの海外進出の可能性など、業界全体についての話もたっぷりされている。さらに作者のひょうろくだま氏は読者から送られてきた質問には丁寧に答えてくれることもあるので、聞きたいことがあったら直接質問してみるのも悪くない。

今エロゲーが好きなあなた、そしてかつてエロゲーが好きだったあなたは必読のエッセイだ。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

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