39:時代の移り変わり

 なんと、気がついたらカクヨムに投稿しはじめて二年がたっておりました。

 しかしながら丸々一年沈黙していたせいか、「もう二周年か~」みたいな感慨は皆無ですね。

 これからものらりくらり気ままに投稿していきますので、みなさまよろしくお願いいたします。


 今回は、エロゲ業界そのものではなく、業界を取り巻く環境――などと表現するのは大げさかもしれないが、そのあたりを語ってみたいと思う。


 十年前、自分たちの出した作品の評価を見たければ「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」を見るのが手っ取り早かった。

 まだツイッターなんてなかった時代で、同好の士と語り合いたくても、なかなかそういう場がなかった。

 そんな事情もあって、匿名で好き放題語れる2ちゃんねるにユーザーが集い、人気作の発売日ともなると1日にとてつもない勢いでスレッドを消費していた。

 2ちゃんねるでの評価が作品の評価へとダイレクトに繋がったし、2ちゃんねるで盛り上がった作品は飛ぶように売れた。

 いつか話したと思うが、2ちゃんねるで工作をしたら予約がどかんと伸びた、なんて話もあるくらいに、2ちゃんねるは無視できない存在だった。

 自分の作品の売り上げを伸ばすために、あるいはライバルを蹴落とすために、2ちゃんねるに張り付いて真実を、ときには嘘を書き込んで工作にいそしんでいたクリエイターを、俺は何人も知っている。


 今はどうだろうか。

 2ちゃんねるはすっかり下火になって、過去の名作スレッドも日に数レスあれば良い程度に勢いが落ちてしまった。

 毎年のベストエロゲの催しも、見る限りガクンと投票数が落ちているようだ。

 俺の印象にはなるが、名作のスレッドでも、常駐しているのは数人程度ではないだろうか。

 とにかく人が減っていて、「ここを見ておけばユーザーの感想はおおよそ把握できる」というような場ではなくなってしまった。

 今はツイッターで同じ趣味を持った人と簡単に交流できるようになり、わざわざ匿名で不特定多数と話す必要がなくなってしまったんだろう。

 若い人はみな、ツイッターで思い思いに感想を呟いているようだ。

 だから俺たちも、感想を見たいときは2ちゃんねるではなく、ツイッターを検索するようになった。


 ツイッターは本名ではないにしても名前を明かした上で発言しているためか、2ちゃんねるよりも幾分かマイルドな感想が呟かれる傾向がある。

 それに、2ちゃんねるだとアンチとの不毛な小競り合いが頻繁に発生するが、ツイッターでは同じ価値観の仲間としか繋がらないから、そもそも口汚い罵り合いなんて発生しない。

 同じ価値観の者同士で作品をおとしめて楽しんでいたり、マイルドと言っても「死ね」だの「クソ」だの吐き捨てる人もいるにはいるが、そういうときはそっとミュートしてあげればいい。

 2ちゃんねるとは違いIDが変わらないから、気性の激しいユーザーの呟きは、永遠に排除することができる。

 ユーザー同士の交流を容易にして、そして開発者にも優しい。

 ツイッターとは、なかなか素敵なツールだ。


 しかし、みんな好き放題に呟いているので感想を拾いきれなくなった、という欠点もある。

 すべての呟きに作品名などのタグをつけてくれていればいいのだが、そこまでマメな人はなかなかいない。

 そういった意味では、ユーザーの感想が見えにくくなった時代、と言えるかもしれない。

 つまり、「おもしろい!」という感想も拡散されにくくなった、というわけだ。(なぜか「つまらん!」という感想はとてつもない勢いで広められるのだが)


 とはいえ、時代は「正体不明の匿名の個人」から「特定の個人」へと移り変わっていて、ユーザー一人一人の顔が見えやすくなっている。

 ファンとの交流も容易になったため、作品を出すだけではなくイベントを開催するメーカーも増えてきた。


 広報の仕方も、かなり変わってきた。

 十年前は、店舗と雑誌が命だった。

 店舗の重要性は今もさほど変わっていないが、雑誌の方は優先度がかなり落ちた。

 昔は営業が足繁く出版社に通って作品をアピールしていたし、高い広告費を払ってページを買っていたりした。

 今は雑誌の売り上げ低下に伴い、ほとんど重要視されなくなった。

 載せてくれるなら載せて欲しいけど、ないならないでいいよ。なんておざなりな対応である。


 広報の主戦場は、ネットに移り変わった。

 どう情報を拡散させるか。事前にどう盛り上げるか。盛り上がっている感を出すか。それが重要になった。

 というか、それができないと売れなくなった。

 大手メーカーは発表すれば勝手に盛り上がるが、弱小メーカーはなかなか情報が拡散されない。

 発売後しばらくたってから情報がユーザーに届く、なんてこともザラである。

 2ちゃんねるにすべてが集まっていた時代と違い、今は情報がネット上に点在していて、ユーザーは興味のある情報にしか食いつかなくなった。

 結果、大手とそれ以外のメーカーとの格差が、昔よりも広がっているように感じる。

 今は、おもしろいだけでは、絵が綺麗なだけでは、設定が奇抜なだけでは売れない。

 事前に「みんなが注目している」という空気を出さなければ、にっちもさっちもいかない。

 一歩一歩実績を積んでいこうにも、発売後に話題になってもリピートに繋がらず、実を結ぶ前に潰れてしまう。

 ユーザーとの距離は縮まったが、「作品を売る」という観点では、非常に厳しい時代になった。


 結局、「今の業界は厳しい」という暗い結論に行き着いてしまうのだが、ユーザーのみなさんの中で「エロゲを盛り上げたいなぁ」という方がいらっしゃったら、ぜひ『作品名を添えて感想を呟く』ことを実践してみて欲しい。

 たまに作品に関するツイートがバズッたりしても、作品名がないと「ただのおもしろいツイート」で終わってしまうのだ。

 前にも言ったが、冗談でも過言でもなく、今は個人が全体を動かす時代だ。あなたの呟きが、作品の売り上げに大きく関わってくるかもしれない。


 あなたの一言は無力ではなく、とんでもない力を持っている。

 ぜひ、エロゲ業界再興のために、あなたの力を貸して欲しい。


 ――と、かっこつけたところで、今回はしめさせていただく。

 話の結びが主題から逸れてしまっている気がするが、まぁいいだろう。

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