29:コンシューマー移植

 また質問をいただきました。ありがとうございます。

 放置する前に返答させていただきます。


■コンシューマー移植に積極的なメーカーとそうでないメーカーがあるのはどうしてなのでしょうか?


 結論を言ってしまうと、「超人気作でもない限りうまみがないから」である。


 エロゲを移植した作品は、誰が買うのか。

 実はエロゲユーザーである。

 コンシューマーの方が母数が圧倒的に多いのは間違いないが、主な購入層はエロゲとほとんど変わらない。

 移植すればエロゲを買えない層が興味を持ってくれて売り上げが増える、なんてことはないのだ。

 人気作なら移植版が10000本近く売れることもあるようだが、そこそこ人気程度の作品では2~3000本売れればいい方だ。下手すると1000本以下なんてこともありえる。

 自社で移植作業のすべてを行えるならまだいい。しかし別会社を挟んでいる場合マージンを取られるわけだから、エロゲメーカーとしてはわざわざ移植にコストを割くより新作を作った方がいいのだ。


 そもそもコンシューマーにおいてアドベンチャーというジャンルに特別人気があるわけでもないし、なにかしら凝ったシステムでもあればともかく、紙芝居をただ垂れ流すだけのゲームが普段エロゲを買わない層に興味を持ってもらえるわけがないのだ。

 売る側もそれがわかっているから、既にエロゲを持っているユーザーにまた買ってもらえるように、限定版という形で様々なグッズをつけている。

 あえてあくどい言い方をするならば、移植は「エロゲユーザーからさらに搾り取るためにするもの」であって、新規層を獲得するためにするものではないのだ。


 移植にたいして労力はかからないんだからとりあえずやっておけばいいじゃん。などと思うかもしれないが、実は移植はと~~~ってもめんどくさい。

 コンシューマーにはCEROという、いわゆレーティングが存在する。

 こいつの厄介なところは「明確な基準がないこと」だ。

 CERO側から「これをしては駄目、これはOK」というはっきりとした指定がないため、駄目な部分を経験則で判断していかなくてはならない。

 エロゲでのソフ倫やメディ倫と比べて当然制限がきつくなるわけだが、エロシーンやエロCGは当然として、暴力的だったり下品な表現もできる限り排除していかなくてはならない。

 そうしないとCERO DとかCERO Zに区分されてしまい、通常の売り場に並べてもらえなくなってしまうのだ。

 アウトそうな表現を手探りで総ざらいしていかなくてはならないのだから、それなりの労力が必要であることは理解していただけるだろう。

 とはいえ、「閃乱カグラ」を代表に、最近CEROはエロ表現にやたらと寛容になっているように見受けられる。

 ……が、審査する人によってセーフかアウトかの基準も変わるらしいので、閃乱カグラを審査している人が特別緩いだけなのかもしれない。


 それと地味にコストを圧迫するのが、「声優への音声使用料」だろうか。

 もう音声はあるんだから払わなくていい……なんてことはなく、録った音声はあくまでも「エロゲで使用する分」であり、移植したら「移植に使用する分」を払わなくてはいけない。

 具体的にどれくらいかかるのかは知らないが、その分儲けは減るわけだから、弱小メーカーにしてみれば移植のメリットはさらに少なくなるだろう。


 このように、移植は労力がかかる割に儲けが少ないので、積極的に行う理由がないのだ。

 最近ではコンシューマーへの移植ではなく、海外市場を狙った翻訳版が増えているように思う。

 母数で言えばそっちの方が圧倒的に多いのだから、そうなるのは自然な流れだろう。


 コンシューマーのアドベンチャー市場が盛り上がれば移植も増えるだろうが、今はどこも生き残りに必死だから、儲からないことはしない、となってしまうのも仕方のないことだろう。

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