21:萌えゲーとグッズ販売の関係性

 前回大事なことを言い忘れたので、まずはその話からしていきたい。


 確実にメインライターになれる方法が、実は存在する

 それは自分で会社を作ってしまうことだ。

 え、ハードル高い……。参考にならねぇよ……。なんて思ったかもしれないが、クリアする条件はたった一つ。


 同人で成功すること。


 やっぱりハードル高いじゃねぇか! と激怒した読者もいるかもしれないが、そういう人はやはり別の業界を目指した方がいい。それくらいやらないと商業でメインライターを続けることは難しいからだ。


 同人でファンを増やし、名をあげ、その実績を持って流通に自分を売り込む。同人で資金は貯まっているはずだし、流通からある程度の融資を受けることもできる。そうなれば、起業すること自体はそれほど難しい話ではない。

 もっとも……同人で成功しているならばそのまま続けた方が確実に儲けられるだろう。しかし第二のTYPE-MOONになれる可能性もゼロではない。


 かなりの茨の道であるが、「俺は自分が企画した話しか絶対に書かん!」という人はこういう道もあるよ、ということだけお伝えしておく。


 さて、今まで萌えゲーが主流、シナリオゲーは売れないという話を散々してきたわけだが、そもそも萌えゲーとシナリオゲーの違いとはなんなのか。

 萌えとシナリオを両立している作品もあるし、一概にこうだともなかなか言いづらいことではあるが、俺自身はクリアしたときに「あのキャラ最高だったな」という感想が真っ先にでるのが萌えゲー、「ストーリー面白かった!」となるのがシナリオゲーだとおおざっぱに区別している。

 作り手目線で言えば「キャラを最重要視する」か「ストーリーを最重要視する」かだ。


 制作側が萌えゲーを作りたがる最大の理由が、その「キャラを最重要視する」という部分にある。

 これもいつか書いたことがあると思うのだが、キャラが立っているとグッズが売れるのだ。対してストーリー重視の作品はキャラグッズが売れにくい。

 シナリオゲーは世界観などを重視する傾向があるため、胸の大きさだったり髪の色を現実的にしたりして萌え度をあえて抑えて生々しさを出そうとすることが多い。その結果「キャラにいまいちピンと来ない」という感想を持たれ、店舗特典に食いついてもらえず複数買いが減り、発売後もキャラグッズが売れてくれない、という流れになる。

 対して萌えゲーはユーザーの好きな要素を抑えることなくドンドン盛り込み、4,5人のヒロインの中で1人でもアンテナに引っかかるキャラがいれば、特典によって複数買いを促すことができ、発売後もグッズが売れまくる。

 つまり萌えゲーはゲーム本体だけでなくその他でも稼げるから強いわけだ。


 そのわかりやすい例が今年(2016年)の3月に発売された「まいてつ」(Lose)だろう。

 特典物を大量につけるだけでなく、各店舗専売のグッズを別売りするという戦略をとり、発売後もコンサートや新規グッズの販売を精力的に行っている。

 伝聞なのであやふやな言い方にはなってしまうが、ぶっちゃけるとグッズはゲーム本体よりも儲かるようなのだ。有名メーカーはコミケの3日間で1千万近く、あるいはそれ以上稼ぐと聞いて驚愕した記憶がある。

 ゲーム本体はグッズを売るための販促に過ぎない、などと表現してしまってももはや過言ではないだろう。ゲームで知名度を上げユーザーに愛着を持ってもらい、グッズで大きく稼ぐ。エロゲ業界はこういったビジネスモデルが当たり前になってきている。

 ゆずソフトはグッズ販売店舗を(ほぼ)常設しているし、まどそふとも様々なグッズを次々と出している。


 複数買いが期待できて作品本体も数万本売れ、その後グッズでさらに売り上げを伸ばせる萌えゲーと、複数買いの期待が薄くグッズも売れないシナリオゲー。経営的に前者を選ぶのは当たり前で、制作側が求めているものとユーザーが求めているものが合致しWin-Winになっているからこそ、現在の萌えゲーブームがあるのだと俺は考えている。


 グッズに頼らなくてもゲーム自体が売れまくる時代になれば、シナリオゲーも増えるだろう。事実、「萌えゲーブームが終わったときにシナリオゲーを作る地力がないとやばい」と危機感を持っている関係者もいるにはいて、萌えゲーを作りつつシナリオ面の強化を試みているメーカーもちらほらと確認できる。

 実際そういった依頼を受けたことがあるのだが、萌えゲーは「ユーザーにストレスを与えてはならない」という制限があるし、メーカー特有のNG展開とかもあったりするため物語に大胆な起伏を作ることが難しく、「最後にカタルシスを与えてくれって言われてもどうすりゃいいんだよ……」と途方に暮れてしまったことがある。


 もちろん萌えとシナリオを両立することは可能なのだが、その可能性を制作陣の「ユーザーを怒らせては駄目」という意識が潰してしまっているように感じる。

 そういった意識が取り払われたとき、思わぬ名作が生まれるかもしれない。

 俺自身「こんなことしたら怒られるかな……」と過剰に気にしてしまうことが多くなったが、そういうときに勇気を出して一歩踏み出せるよう、「怒られても知らん!」という気概をなくさないようにしたいものである。

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