17:どんでん返し

 エロゲ業界では萌えゲーの一強であると散々説明してきたし、それは決して間違いではないのだが、萌えゲーというのは売れたとしてもそれはぶっちゃけ原画家の功績であって、ライターが売り上げに貢献した割合なんてものは1割もあるかどうかというところだ。

 萌えシナリオを書くにも技術がいるという話もしたが、それはあくまでも「原画家の描いたキャラクターの可愛らしさをより引き立てる技術」であって、「シナリオを面白く書き上げる技術」とは別ベクトルにあるように思える。

 だから萌えで評価されたとしても、泣きゲー純粋培養で育ってきたおっさんの俺には、どうも納得いかないというか、人のふんどしで相撲をとって「よくやった!」と言われた気分になってしまって、なんだかもの悲しいのだ。


 じゃあ純粋なシナリオの質で評価されると嬉しいかと言われれば、もちろん嬉しくはあるのだが、たまに「え、なんであの作品が?」と自分がいまいちだなーと思っていたシナリオが絶賛されたりする。

 なんでだろうと調べてみると、たった一つ共通点があった。


 物語終盤に、大どんでん返しがあること、だ。


 実は主人公がラスボスだったとか、死んだはずのヒロインが生きていましたとか、逆に死んでいましたとか、ハッピーエンドだと思ったら実はバッドエンドでしたとか、なにかしら終盤にユーザーが驚く仕掛けをいれておくと、かなり高い確率でそのシナリオは評価される。

 そこに至るまでの過程がどんなにつまらなくて退屈であくびが出ても、最後の最後でひっくり返せばユーザーは「素晴らしい!」と拍手をしてくれる。


 なので、「終盤に力を入れすぎてそこまでの練り込みが甘かったな……」なんて反省していても、レビューサイトで高得点が乱舞したりするのだ。


 終わりよければすべてよしという言葉の通り、シナリオも終わりさえよければ、最後の最後にどでかいインパクトを与えれば、それまでの退屈さを忘れてユーザーは満足感に包まれたままエンディングを迎えてくれる。

 なので、ユーザーに馬鹿受けする作品を書きたいのであれば、どんでん返しを意識して書いてみるといい。

 そこに至るまで退屈でも、伏線をしっかりとはりめぐらせて、うまくユーザーをどんでん返しに導くことができれば、そのシナリオは高い確率で評価されるだろう。


 伏線を綿密にはる技術、構成力は当然必要になるわけだが、非常に乱暴な言い方になるが考察好きのユーザーが「え、それは伏線じゃないよ……」ということまで読み取ってくれるので、雑でも意外となんとかなったりする。

 もちろん、計算されつくしていることに越したことはないが、そういった計算できない部分、ユーザーの予想・想像に任せる部分を残しておくと、“考察”が進んでさらに盛り上がったりする。

 そういった考察が盛んな作品はたくさんあるが、作り手目線だとその何割かは「そこまで考えてないだろうなぁ……」なんて思ったりする。


 謎が明らかになる。思いもしなかった真実が明かされる。伏線に気がついて「あっ!」となる。

 最後にどんでん返しがある作品にはそれらたくさんの興奮が詰まっている。

 やはり“気づきの興奮”というものは凄まじいのだろう。あらゆる退屈を吹き飛ばしてくれる。


 エロゲ業界でがんばっていて「シナリオで評価されたい!」という方は、ぜひ試してみて欲しい。

 なんて簡単に言ってみたが、その大どんでん返しが次々と思いつくような人は「評価されたい!」なんて燻っていないだろうから余計なお世話だろう。

 もちろん俺はさっぱり思いつかないからここでくだを巻いているわけだ。


 久しぶりの更新になってしまったが、そろそろネタ切れになってきたので、おそらくこのくらいの更新頻度でしばらく続くと思う。

 たまに質問をいただくのだが、もしエロゲ業界で気になることがあればぜひメッセージなどを送って欲しい。

 俺が知っている範囲のものであれば、こちらのエッセイでお答えしたいと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます