16:好かれるヒロインと好かれないヒロイン

 シナリオ上してはいけないこと、気をつけるべきことを以前話したが、今回はお話の中身ではなくキャラクターについて触れてみたいと思う。


 流行り廃りはもちろんあるが、経験上、そういったものに左右されにくい鉄板のヒロイン像というのが実は存在する。

 黒髪ロングの女の子である。


 悪く言えばありきたりで避けられがちなキャラデザではあるのだが、仮にサブヒロインであっても、人気投票でメインヒロインを押しのけて上位に食い込んでくる可能性を秘めているのが『黒髪ロング』という属性なのである。


 やはりユーザー、というかオタクの男は、俺自身もそうなのだが女性に清楚さを求めるもので、黒髪ロングはまさにその象徴なのだ。


 金髪ツインテだったり、最近だと赤髪のロングだったり、他にもテンプレートはあるのだが、いつの時代も普遍的に愛されるのは『黒髪ロングのヒロイン』だけだ。


 逆に人気が出にくいのは、緑髪のヒロインだ。


 以前も話題にした萌えの最先端を走るメーカーClochetteのHPを見てもらいたい。

 『かみぱに!』に1人だけ緑髪のヒロインがいるが、その後の『スズノネセブン!』からはサブキャラクター枠にはいてもヒロイン枠からは姿を消し、『プリズム◇リコレクション!』からはサブ枠からすらも消えてしまう。

 次に老舗のオーガストのHPを見てみよう。

 最新作のヒロインに、やはり緑髪はいない。


 このように緑髪はどういうわけか人気が出ないので、どのメーカーも避ける傾向にあるし、原画家が緑髪を指定したとしても「それはちょっと……」とクライアントが難色を示すことがほとんどだ。

 もちろん初音ミクといった例外中の例外も存在するが、少なくともエロゲ界では緑髪は不人気の象徴となっている。


 その他の外見的な特徴は、ほぼ流行に左右されるものばかりだろうか。

 最近だとロリ巨乳が圧倒的に強いが、随分前の妹ブームのときは貧乳が流行ったし、一時期姉モノがちょっとだけ流行ったときは大人っぽいキャラに人気が出やすかった。

 あえて述べるのであれば、「学生であること」だろうか。

 大人っぽいというのも学生の範疇にあることが大前提となっていて、あまりにも大人っぽいとBBA判定をされて一気に不人気キャラ枠に足を突っ込んでしまう危険性がある。

 やはり「制服」が持つ魅力というのは凄まじいわけだ。


 そして絶対的にNGな外見的な特徴が、「眼鏡」である。

 またClochetteやオーガストのHPを見て欲しい。

 サブにいたるまでまさに絶滅危惧種である。

 眼鏡好きは一定数いるはずなのだが、眼鏡嫌いの人も一定数以上いて、通常は裸眼だが勉強のときだけとか自宅にいるときだけとか、シーン限定で眼鏡をかけることが発覚すると「ふざけんなよ」とブチ切れる人がいるのだ。

 だから緑髪以上に、メーカーは眼鏡のキャラを徹底的に避ける。

 緑髪+眼鏡のコンボなんて決めてしまったら目も当てられないので、その組み合わせは絶滅危惧種どころか既に絶滅してしまっているだろう。


 次に、どういった性格のヒロインが好まれやすいのかについて触れよう。

 10年くらい前は、今で言う「暴力系ヒロイン」がテンプレート扱いされていて、当時から賛否両論あったわけだが、今では否の方が圧倒的に多い。


 ヒロインが入浴中だと知らずに浴室に入ってしまった。キャーと悲鳴を上げ、桶だったりシャンプーだったりを掴んで投げる。主人公にヒットして倒れる。

 あるいは主人公に詰め寄ってフルスイングのビンタ。主人公昏倒。

 一昔前だったら飽きるほど見たシーンだが、今では避けるべきシーンの筆頭となっている。

 理由は「わざとじゃないのにいきなり暴力を振るうとかありえない」からだ。


 だから今の正解は、ヒロインが顔を真っ赤にして浴槽に潜ってしまう。あるいはそのまま一緒に入ってイチャイチャする。である。

 エロゲ的には後者の流れでそのままHシーンに突入するのがより正しいが、とにかく暴力ではなく可愛い姿を見せなければいけない。

 そう。ヒロインにはとにかく『可愛さ』が求められている。


 ギャップがあるとさらによく、いわゆるツンデレというやつだが、普段はとげとげしいのに上記のような油断した場面では女の子らしい可愛さが垣間見えると、ユーザーはもう夢中になるわけだ。

 その可愛さというのも振り切ってしまった方がよい傾向にあり、病的に主人公に依存しているとか、赤ちゃん返りするほど甘えてくるとか、(俺がおっさんだからというのもあるだろうが)「現実にこんな子いたらちょっと引くかな……」くらいの塩梅がちょうどいい。というかそれくらいやらないと無個性で終わってしまう。

 普段との落差が大きければ大きいほどデレたときのギャップの威力が増すので、普段のとげとげしさをマイルドにしなければいけない分、とことんまでやり過ぎなくらいデレさせるわけだ。

 こういったギャップのあるキャラは、発売前こそ素直に可愛いキャラに負けてしまうが、発売後に頭一つ抜けて人気が出る傾向にある。

 全員ギャップありにしてしまうとそれはそれでクドくなってしまうが、1人くらい落差の大きいキャラを作っておくと個別√での展開もしやすく、ライターとしても扱いやすい。


 どういうヒロインにするか困ったときは、「黒髪ロングで性格にギャップのあるキャラ」を作っておけばいい。

 繰り返しになるが、流行り廃りがあるので「それで絶対人気爆発!」とは断言できないのだが、大きく外すことはないはずだ。


 逆に「緑髪と眼鏡」だけは絶対にやめた方がいい。絶対に、だ。

 発売前人気投票で、自分の担当キャラがサブヒロインにすら負けてぶっちぎりの最下位になる。

 それはとても悲しいことなのだ……。

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