09:シナリオライターの収入

 シナリオライターを目指している人にとって気になるのは、やはり『ぶっちゃけどれだけ稼げるの?』と、金銭面の話だと思う。

 あくまでもエロゲ業界においての話にはなるが、メーカーに所属していた頃は入社してしばらくは手取り12万ほど、ディレクターになって15万ほどになった。

 たぶん弱小メーカーはどこも同じだろう。決して給料は高くないので、苦しい生活を強いられる。

 大手メーカーに勤めている友人は、手取り20万を超えているそうだ。生活と両立させたいのであれば、大手メーカーに履歴書とサンプルを送ることを勧める。

 ただ前にも話したが、大手メーカーには既に看板ライターがいる場合がある。「とにかくメインで書きたいんだ」という人は、弱小メーカーを狙ってみよう。そのメーカーに看板ライターがおらずあなたの力量が確かならば、すぐにメインライターを任されるはずだ。しかしその場合、金銭的にかなり窮屈な生活を送ることになると覚悟しておこう。


 外注ライターの報酬は、1kb(だいたい500文字くらい)で1000円が最低ラインだろう。

 業界内で実績を積み重ね信頼を得ることができればこの金額はどんどん上がっていき、1500円になったり、景気の良いメーカーは2000円も払ってくれたりする。

 1ヶ月あたり300kb書く人ならば、最低でも30万は稼げるわけだ。1500円で請け負っていれば45万になる。俺が「外注になってやっと貯金ができるようになった」とこぼした理由がわかってもらえたと思う。


 その他に1kbいくらという契約ではなく、資料作成など執筆以外の諸々の作業含めて100万円というような、グロスで請け負うこともある。

 その場合はだいたい手付けで何割かを支払ってもらい納品後に残額を貰うか、毎月末日だったり作業の区切りに分割で支払ってもらうことになる。

 ただグロス契約は経験上割に合わない作業を強いられることが多いので、俺は企画はいくら、資料作成はいくら、シナリオ執筆は1kbあたりいくらとしっかり決めることにしている。


 このように外注の方が圧倒的に儲かるわけだが、それも常に依頼が入っていればの話で、収入がない月があるのもザラである。

 おまけに支払いにルーズなメーカーも存在し、幸い俺はまだそういった被害にあっていないが、未払いのままトンズラなんてことも割とよく聞く話だったりする。


 所属ライターの給料は確かに安いが、たとえ暇な月でもきちんと口座に一定の額が振り込まれるというとても大きなメリットがある。

 外注ライターは書けば書くほど金になるが、依頼が来なければ収入はゼロだ。俺はフリーになった当時、所属ライター時代のツテをフル活用して仕事を得ていたが、いきなりフリーでやっていく場合はなかなか苦しい戦いになるだろう。


 フリーライターにとって最重要なのは腕ではなく、人との繋がりであると俺は思っている。

 メーカーの信頼を得ることができ、継続的に依頼をもらえるようになれば食いっぱぐれることもないし、うまく結果を残すことができれば企画から携わったり、企画立案そのものを任せてもらえたりする。ディレクションも任されるようになればさらに報酬はあがる。

 フリーになった当時は「実力さえあればなんとでもなる!」と意気込んでいたものだが、業界に顔が利く知人が気を使って仕事を紹介してくれなかったら、今ごろ俺は食っていけず実家に戻っていたことだろう。

 確かに儲かるが、その分リスキーであることを忘れてはいけない。


 既に何度か言ってはいるが、ライターになりたい人はいきなりフリーになるのではなく、どこのメーカーでもいい。社員として働き、下地を作った方がいい。

 そこで得た人脈や経験は、フリーになったときに絶対役に立つ。


 ……とはいえ、エロゲ業界が大いに傾いている今、わざわざエロゲライターを目指すような人はあまりいないだろうが、俺のような無名ライターでさえ意外と悠々自適な生活はしているよ、ということだけは伝えておきたい。

 それに18禁だからこそコンシューマーよりも表現の幅は広いので、ゲーム業界を目指している人はぜひ偏見を持たず、こちらの世界にも目を向けてみて欲しい。

 もっとも……規模が段違いなので、コンシューマーにいける実力を持つ人は絶対にそっちに行くべきだが。

 食うに困らないくらいは問題なく稼げるが、やはり人にはお勧めしにくい業界ではある。

 俺の母親は俺がAV監督になっていると勘違いしているくらいで、オタク知識を持たない人にはヤクザな商売に見えるのだ。


 エロゲライターを目指している人は、家族や他人がどう思うかもしっかり考えるべきなのかもしれない。

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