『ジャズテイストで行こう!』で思い出したレコーディングの話※ネタバレってほどではありません

 角川×カクヨム「働くヒト」小説コンテストに『ジャズテイストで行こう!』で参加してみました。

 『J moon』を元にした話ですが、文字数も10万文字くらい減らし、新たなエピソードも入れて、『J moon』よりは多少爽やか(?)になったのかな?(苦笑)


 『J moon』は、なろうと、放置状態の自サイトやらにも載せちゃってるので、ここカクヨムでしか『ジャズテイストで行こう!』は公開してないのですが、カクヨムオンリータグは付けませんでした……。


 『ジャズテイスト……』には、レコーディング場面がちらっと出てきます。

 そこで、思い出しました。封印していた記憶が……!


 私が、ちょうど奏汰くらいの年の頃(22くらい?)、アマチュアバンドのレコーディングを手伝ったことがあったのでした。

 全然知り合いでもない人たちですが、話が回ってきました。音楽業界、そんなもんです。


 『J moon』でも『ジャズテイスト……』でも、奏汰がPA(音響)講師に突然決まる場面があるのですが、音楽学校ってホントにそうで。教員免許持っていなくても、業界で働いてるとか、その業界では第一線の人だったり、第一線の人が認めた人だったり……で、突然決まることがあるんです。音楽大学では、ちゃんと免許ないと、なかなか難しいでしょうけど。


 それで、レコーディングの話ですが、間に入った子が、誰か紹介しないと自分がやることになってしまう! と頭を抱えていて「アマチュアって言っても、レコーディングなんて、すごい勉強になるのに、なんでやらないの?」と私が不思議がってたら、「じゃあ、やる?」と。

 やりたいのは山々だが、私程度の腕でいいのかと、そこが一番気になったのですが、「かがみんなら全然大丈夫!」と調子のいいこと言ってました。だったら、ますます、なぜ、その子はやらなかったんだろう? と思ってました。


 音楽学校で鍵盤専攻なのにピアノは苦手って人が、意外と多かった。ここが、音大と異なるところでしょう。

 ピアノというより(当時の音大生は、生ピアノは弾けても電子ピアノは弾けない&操作出来ない人が多かった)で、バンドメンバーになるのではなく、その時だけのゲスト扱いだから、という話でした。


 私はピアノは第一専攻ではなかったのに、どの程度弾かされるのか全くわからない状態で引き受けました。今思うと無謀なんですが、本当にたいしたことはなかったです。コード見て弾けて、応用きかせられれば、誰でも弾ける程度でした。


 ジャンルは、ちょっとはジャズも関係しているけれど全くのジャズってわけじゃなくて。私としては、ジャズじゃないってのが残念でしたが、贅沢は言ってられません。


 平均年齢、いくつだったんだろう? 40? 50? かなり上。当然、私が一番若かったかと。

 バンドリーダーは、アマチュアと言っても、そのジャンルを長年追求してきていて、かなり詳しい。歌も上手いし、楽器も出来た。鍵盤以外は、ほとんど全部ひとりで出来ちゃうような人でした。


 メンバーは、男女両方同じ人数いたかな。私入れて、10人近くいたと思います。

 楽譜読めない人とか、音楽をやったことのない人がほとんどで、でもすごく声はきれいで、歌うの好きなんだなぁと思って。始めのうちは、いい感じだと思ってました。


 練習回数が増えてくると、ゴタゴタが……!

 なぜか男性同士でケンカし始めるし、原因が全然わからない。そのうち、キーキー怒り出す女性も……!


 バンドリーダーはピリピリして「そこ、音程ズレてる!」と、いちいちいちいち注意してやり直しばかりで、練習日は毎回終電に……。うちの方の終電に間に合わなそうな時は、友達のところに泊めてもらったほど。練習は効率悪すぎでした。


 私は当時、講師の研修も受けさせられていたので、いちいちそんな風に注意すると、例え大人でも相手は萎縮してしまい、余計にうまく歌えなくなり、悪循環でよくないことはわかってました。音楽じゃなくても、そういうものですよね。


 私がミスタッチした時も、リーダーが注意する。自分は耳がいいと言わんばかりに。「ああ、ミスタッチです。コードの音はわかってますから」と言い返してましたが。プロの先生たちは、ミスタッチなのか間違って覚えてるかの区別はつくので、こんなにいちいち言いません。本番はちゃんとやってくれるだろうと信頼もしてくれてます。

 いつしか周囲の雰囲気は、ギスギスと最悪な状態に……!

 リーダーだけは気付いてませんでしたが。


 レコーディングは、栃木? 群馬? 長野? どこだったか忘れましたが、場所は綺麗でした。学生の時に、師匠(作中の奏汰の師匠橘のモデルになった人とは別人の)のレコーディング現場を見学させてもらって以来です。レコーディング・スタジオは新しくて綺麗で、うわ〜、写真とかで見たことあるー! ホントにヘッドホンして、床にケーブルぐるぐる巻いたのがあちこちにあるー!

 ……と、ここんとこ、『ジャズテイスト……』で書いた通りで、わくわくしてました。


 PA担当者はメンバーよりずっと若くて、話し易かったのを覚えてます。そのジャンルにも詳しくて、前回CD制作でもお願いした人なのだとか。

 確か、年の近いアシスタントくんがいて、同い年くらいだったかも? それで、偶然にも、同じ学校の違う科出身なのがわかって、話が弾んだ気がします。

 バンドメンバーと話すより楽しかったです。いや、メンバーもいい人たちなのですが、ちょっとよくわかんない人が多くて……。


 レコーディングは楽しかったです。練習と違い、トントンと進みました。リーダーも、他スタッフの手前か、メンバーを鋭く注意することもなく、和やかに、スムーズに録音は出来ました。


 一曲だけ、リーダーが、録った曲をスタジオで聴いて確認した時に、自分の楽器の音を、もっとボリューム上げてくれと言っていて。

 PAの人も、「いや、これくらいがバランスいいと思ったんですが」と。

 それでも、「気持ちもうちょっと上げてください」とリーダーが食い下がるので、また録り直しました。

 そのテイクを聴き直すと、私には、その楽器が目立って聴こえて、前のテイクの方でいいように思えたのですが、リーダーは「これでいいです!」と、ご機嫌でした。


 打ち上げ楽しかったです。レコーディングはいい経験でした。CDは銀座の有名楽器店にも少しだけ並びました。(もうとっくに廃盤になってますが)

 リーダーは喜んでくれて、「以前頼んだ音大生よりも、ハッキリ入ってくれて、ノリやすかった!」と褒めて下さったが、どうしても、そのバンドに馴染めず、自分のやりたい音楽とも違ったのが大きくて、私は楽しいとまでは思えなかったのです。


 バンド公演を関西かどこかでやると言っていて、曲目がごそっと追加になりました。曲は、リーダーが現地で仕入れて来たものが多く、日本では全然知られていないらしかったです。当然、私はそれらの曲は知らないし、ジャンルにも詳しくなかったのに、「今アレンジしてるから」となかなか譜面を送ってくれず、「参考音源をコピーして一緒に送るから、楽譜以外のところも、それを参考に弾いてくれ」という注文でした。


 ようやく来た楽譜は、私がCメロ譜(メロディーとコードネームのみ)で送ってくれていいと言ったのに、メロディーすら書いてなく、コードだけ。音符はない。参考音源は、曲目が全然違った。

 これ、どうやって弾けっていうのー!? 「アレンジに時間かかって……」って何だったんだ!?


 メロディーも知らず、原曲の音源もないのに、合いの手やら、気の利いたフレーズ弾けってのは、無理な話です。そのジャンルを研究するには時間がなさ過ぎです。


「原曲も知らないし、これじゃ、弾けません」というと、「困るよ! きみが弾いてくれないと、アレンジ全部変わっちゃうんだよねー!」

 はあ!? だって、あんた、何も書いてないよねぇ? メロディーすら!


 結局、私がバンドに入らなかったのは、リーダーのワンマンなやり方と、音楽面でも私にとってそこはいい加減では困るところがいい加減で、どうしたいのかも伝わらず、私がほとんどアレンジしたところも自分がやったみたいに言っていたりとか、まあ、そんな感じの理由です。


 かなりワンマンなせいで、彼の本職の方でも、バイトの子がどんどん辞めて入れ替わってたと聞きました。ちょっと頷けました。

 紹介してくれた子も、あのリーダーとやっていけないと思ったから、必死になって他に奏者探してたようでした。


 バンド辞めると話した時に、リーダーは「お疲れさま」の一言もなく、自分が困る(皆が……ではなく。確かに、私が辞めても皆は困らない)ってことばかり言っていて、もう良い年した社会人なのに社交辞令も言えないのか、まったく音楽さえ出来ればそれでいいのか? と思いました。


 私も若気の至りでしたが、今思い起こしても、あのまま続けるのはやはり無理だったと思います。


 まずは、第一に楽しくないとね!


 私の知っている大人の人も、クラシックが専門ですが、趣味でジャズのバンドに入っていました。が、やはり、ゴタゴタがあってバンドが解散してしまったそうで。


 大人気ないと思います、自分も含めてですけど、音楽やってる人って。

 だから、ジャズでカクテルで大人の恋とか、オシャレぶってるとダメなんですよ!

 (そんな話、ここでは出て来てないけど……?)

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