トムヤムクン

 自宅でカクテル作りにハマっていた頃、次第に、エスニック料理にもハマっていきました。普通の料理は作りたがらないのに、なぜか。


 あの味は、どうやって出せるのか?

 何が混ざっているのかわからなくて、知りたくなるのです。


 カンボジア料理は、中華料理と似ているけれど、さっぱりしていて、意外に辛くない。東南アジアの料理の中で、一番好きだったかと。(もちろん、東京〜神奈川で食べられる範囲で)

 ベトナム料理も、カンボジアや中華料理と似ていて、さっぱり。


 横浜みなとみらいの遊園地コスモワールドの隣に、ワールドポーターズというショッピングビルがあります。映画館も入ってます。

 そこには、インド料理、インドネシア料理もあります。


 インドネシア料理も辛いです。辛さが選べるものもありますし、まったく辛くないものもあります。

 味は、中華というより、やはり、タイ寄り。


 上記の中で、最もクセがあるといったら、タイ料理でしょう。

 タイ料理は、辛くて酸っぱくて、初めは絶対無理! と思っていたのに、それから数年経ったら、作ってみたいと思うほど惹き付けられてしまった。

 世界三大スープの一つに、タイ料理のトムヤムクンが選ばれた理由が大いにわかる気がします。


 今でこそ、インスタントですらトムヤムクン味だとか、スーパーでも、トムヤムクンの素みたいなセットがありますが、当時は特殊で、食材を手に入れるのも一苦労で。

 コブミカンの葉(カフェライムリーフ)というのが、なかなか見つからなかった気がします。パクチーも。


 いつもの飲み友達が仕入れた情報によると、横浜の地下鉄「長者町」駅から歩ける辺りにあるようだ、と。


 そこは、オシャレな横浜とは違って、得体の知れない横浜です。

 昼間じゃないと、なんか怖くて、いかがわしい。

 用がないのに、うろつくようなところではありません。


 友人の調べた、タイ料理の食材屋に行ってみると、狭くて、店の人は日本語が出来なさそうで、目を合わそうとさえしない。

 おそらく、買いに来るのは、タイ料理店のタイ人くらいだったのでしょう。


 また場違い?

 私たちも、タイ語はわからないので、さーっと見回してから、そそくさと店を出ました。

 食材の中に、デカいゲンゴロウ(5〜6cm?)みたいなのを乾燥させたものを無造作に水槽だかビニール袋だかにどっさり入れて、棚の上に、ぽんと置いてあったのを見付けて、あれが「タガメ」だとわかりました。

 タガメを使う料理は、私の持っていた本だか雑誌のレシピには載ってなかったかな……。あっても、ご勘弁を。(食わず嫌い……)


 特殊な材料は、意外なことに横浜の成城石井にあり、解決しましたが、私たちは、一度もトムヤムクンを飲んだことがなかったので、まずは本場の味を! と、タイ人の行くようなタイ料理店を目指しました。


 プミポン国王の大きなポスターが貼ってあり(本当にタイ国民に慕われていたのが良くわかります)、階段を下って店に入ります。

 黒服のウェイターが少し怖く、店も、豪華なインテリアのつもりかも知れませんが、赤いふかふかソファー、敷き詰められた絨毯、夜はキャバクラになりそうな、いかがわしい内装——


 そこは、多少日本語は通じるようでしたが、お客も少なく、私たちのような、いかにもお金のなさそうな日本人は珍しかったのか、じろじろ見られている感じがしていて、ちょっと怖かったです。


 トムヤムクンと、パイナップルのチャーハン(パイナップルを半分に割り、中身をくり抜き、チャーハンを盛りつける。美味しいです!)を頼んだと思います。


 スープに眠り薬が入っていて、目が覚めたら、拉致監禁されて、どこか知らない国へ行ってないだろうな?


 いや、私たちなどを、簀巻すまきにして船に詰め込んだところで(どんなイメージ?)、向こうに危険を冒してまでの利があるとは思えません。


 よし、大丈夫だ!

 妄想より好奇心がまさってしまった私と友人は、スープを啜る。


 はい、辛くて酸っぱい衝撃的な味、トムヤムクンの味でした!

 当たり前ですが、眠くなることはありませんでした。


 スープの中にあった、生姜のようで生姜ではない木の根っこのようなもの(多分、カーという)が、噛み切れない。

 きっと、消化しないから、食べるものではないのだろうと、友人も私も、カーを食べるのは諦めた覚えがあります。


 こうして、なんとか、パイナップルのチャーハンと、トムヤムクン(あと何か作ったかも知れませんが、忘れました)は、自宅で、無事作れて、似たような味を再現出来た覚えがあります。


 トムヤムクン——辛くて酸っぱいけど、それだけではない、なんだろう、あの味わい深い美味しさは!

 友人と私、そして、他の友人も招き、エスニック・パーティーは無事終了しました。


 もう一つ、これは、最近になってからですが、『トムヤムクン(2005年)』というタイのアクション映画もレンタルで借りました。

 飼っていたゾウが盗まれた!

 ゾウを取り返すお話です。

 なんだそりゃ!? 


 最初は、親子のゾウとほのぼの(特に、子象がかわいい!)だったのが、ゾウが誘拐されてしまうと、取り返すために、一人でマフィアのアジトに乗り込み、タイからシドニーまで追いかけて行く主人公の、カンフーにも似た、足技の効いたムエタイ・アクション!

 なんだ、この人! アクション本物だ! と、見入ってしまいました。


 トニー・ジャーという俳優さんですが、ウィキペディアによると、香港映画のスタントマンを経験し、体育短期大学で体操も習い、ムエタイやいろいろ身に付けたようで、彼の神技的アクションは、日本でも海外でもジャッキー・チェンの登場以来の衝撃なのだそうです。


 ワイヤーもCGも使わず、螺旋階段を登りながら、49人の敵を迎え撃つアクションシーンでは、4分間ノーカットで撮られていて、驚きました。

 だからこそ、引き込まれるようにして見入ってしまったのか。


 なぜ、あんなに強いのか?

 昔、タイの王様はゾウに乗って敵と戦っていた。そのゾウを守る役目に、主人公の青年は憧れ、ゾウと共に育つ(特訓もする)うちに、憧れが増していったようです。

 ゾウを守る役目(名前忘れた)に対する尊敬の念なのか、実は末裔だったのか、それで、あんなに強いのか。


 普段は穏やかなタイ人も、ゾウに対するひどい仕打ちは許せないという。

 タイ人の、ゾウに対する愛情が、よく現れていた映画で、こちらも『トムヤムクン』だけあって衝撃的な内容でした。



 あ、あと、おまけですけど、ペヤングのやきそば「パクチーマックス」、パクチー大丈夫な方とか、エスニック好きな方にオススメです。

 ナムプラー+レモン汁っぽいソースが、いかにもエスニックっぽくて美味しいです。

 さっそく、リピーターです。

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