芸能人のボイトレ師匠に学ぶ「環境大事!」

 学校の授業でジャズボーカルを教えていた先生は、芸能人や、インディーズバンドのボイストレーニングもしていた女性の先生でした。ジャズボーカリストです。

 男子も女子も受講していて、人気のある先生でした。


 クラシックの声楽でも、男性の先生が女子を、女性の先生が男子を教えることもありますが、音域が違うのに、どうやって教えるのかと思ったことがあります。


 その授業で大勢を一緒に教える場合は、先生側は普通に、特に男子向けとか女子向けとかは関係なく授業をしていました。


 芸能人のボイストレーニングがお仕事でも、ご本人の名前が表に出ることはありませんが、超有名な女性バンドのボーカルとか、その他の人をレッスンしていました。


 先生に教わっている人で、アマチュアもプロも出演する、あまり大っぴらにはしないライブがありました。

 マスコミは来ていましたが、狭い会場では邪魔でした。

 TVでロックを歌うあのボーカリストが、ジャズを歌う(1、2曲ずつですが)通常のライブでは有り得ない、すごくお得なライブです。


 以前、先生が、「あなたたちの方が声がきれいよ。私んとこに来る子たちは、13、14歳くらいから無理に歌って、声潰してきた子たちだから。正しい発声を教え直すところから始めないといけないから、もっと大変よ」と言っていたのを思い出しました。


 出演していた女の子たち、女性たちは、歌の前にアナウンスする声は、ガラガラでハスキーなのですが、歌うと、芯のある良い声になって、不思議に思いました。


 そんなことで、先生は忙しいので、私の学校で受け持っていた授業は、週に1回か、2週間に1回。

 そんな頻度では歌を教えても意味がないということで、ほとんどがお話で、年度末には英語で歌う試験がありました。

 英語の発音に聴かせる歌い方などを教わりました。


 それまでの授業は、ほとんどが、先生の面白くて興味深いお話でした。

 ジャズのノリを本当にマスターするのは、日本にいて生活していたままでは出来ない、というのには、ちょっとショックだった覚えがあります。(このネタ、後に『J moon』でも使います)


 朝起きた時から、アメリカンな朝食、英語で会話する(英語ってリズミカル)、街中を歩く(思わずリズミカルに歩いてしまう!?)……そんなことが、日常的にあってからこそ、あのノリが出せるのだと。


 以前、ナオミがアメリカに行った時のことをTVで話していました。

 ショッピングモールのBGMが、ジャンジャン大きな音でかかっていて、服売り場の店員さんも大きな声でその歌を口ずさみ、体でリズムを取りながら、服をたたんでいた、と。

 しかも、上手い。


 なるほど、BGMは邪魔しない音量の日本とは、随分違います。

 仕事中に歌うのも、日本では、怒られてしまいます。


 その番組を見ていて、先生の話の意味が、わかった気がしました。


 環境って大きいんですね。


 香港で、ジャズのライブを見た時、白人のリーダー率いるアボリジニーの楽団が、演奏していました。

 リーダーはピアノに座り、アボリジニーたちは、クラリネット、サックス等の木管楽器、トランペット、トロンボーン等の金管楽器が10人ほど。


 レストラン席は暗かったはずなのに、前から2列目くらいにいた私たちの姿がわかったのか、私はノって手拍子(周りも当然のように)していて、隣の友人が真面目に観ていたら、リーダーが、ピアノ弾きながら、「もっと笑って!」みたいなジェスチャーしていて、「見えてる!?」って、ちょっとびっくりでした。


 そのレストランから帰る時も、ドアの外で白人リーダーが誰かと立ち話をしていたので、こっそり通ろうとしたら、「Oh! Thank you!」と、声をかけられたので、無視するわけにも行かず。


 私が「『“A” Train(Take The “A” Train =A列車で行こう)』 nice!」だったか言ったら、白人リーダーと「イエーイ!」みたくなりましたが、即座に、隣の友人に、また「笑え!」のジェスチャーをしていて。

 座席から離れてるのにわかるってことは、顔まで覚えてたのか!? と、友人と二人で、すごく驚きました。


 まあ、香港のところに書きましたが、私たちが、遠足のようなカッコでバー・レストランにいたので、ミスマッチ過ぎて、印象に残ってしまったのかも知れません。


 おそらく、アメリカ人ではなく、オーストラリア人だったと思いますが、やはり、ノリが大事のようで。多分、ジャズとかいう以前に。


 そう言えば、この時は通じたな、英語。

 香港人には通じなかったけど。

 やはり、母国語で訛ってる方が、外国語で訛ってるよりわかりやすいか。


 クラシックの世界でも、環境、似たようなことが言えます。

 クラシックの方は、ピアノでも声楽でも、ヨーロッパに留学することが多いと思いますが、あちらは、日本よりも、発表の機会に恵まれています。


 毎晩のように、クラシックコンサートがあり、出演するのは、音楽を学びに来ている留学生もいるようです。

 お客さんは、専門家ではなく、一般人で、クラシック好きな人だったり、通りすがりだったり、子供から老人まで様々な人がいるのだそうです。


 悲しく、せつない曲を弾くと、お客さんで泣いている人もいて、力強い曲などを弾き切った時は、立ち上がって「ブラボー!」と拍手喝采。


 最近は、日本でも、お客さん側の反応は、それに近付いては来ましたが、学生のようにシロウトに近い子が演奏する場が、毎晩のようにあり、そんな子たちに向かって、客が「ブラボー!」と拍手喝采するには、まだ程遠いようです。


 音楽を学ぶ環境で、感性や技術を磨けて、また作曲家がいた同じ場所で、同じ空気を吸う、建造物や風景で同調する……


 より極めるために、留学したくなる気持ちがわかりました。

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