いま、読んでます⑤本格的な離島土着ホラー

 さて、今どんでん返し部門が荒れてますね。


 それというのも、運営がカクヨムコン開始から三週間も経った今になって「どんでん返し部門で求めているのはこういう作品です!」という例を提示してきたからなんですが――。


▫️第6回カクヨムWeb小説コンテスト「どんでん返し部門」の参考作品に関して - カクヨムからのお知らせ https://kakuyomu.jp/info/entry/2020/12/23/120000


 私としては何でそこまで荒れるのか分からなかったので逆に困惑しました。


 最初から文芸系のレーベルが審査をするということが書いてありましたし、無くなったホラーミステリー部門の代わりだと思っていたので、求められているのはホラーやミステリーだと普通に思っていました。


 それが異世界やラブコメの作品が上位に来てておいおい、おかしいぞ。運営、注意してくれてグッジョブ! と思いきや、そうでは無い受け取り方をした人も居たようで……。


 どうも聞いてみると、その原因となったのは運営から出された部門説明の曖昧さのようです。


 改めてどんでん返し部門の説明を見てみると『作品世界が読者の前で反転するような、展開上の「驚き」が仕掛けとして組み込まれたエンタテインメント作品を募集します』とあります。


 確かにここの文書だけを見ると、ホラーやミステリーが欲しいとは読めませんね。


 そして数日前に出たこの通知。


▫️第6回カクヨムWeb小説コンテスト「どんでん返し部門」へ応募する際にご確認ください - カクヨムからのお知らせ https://kakuyomu.jp/info/entry/2020/12/10/140000


ここでは「異世界やラブコメが相応しい作品はそちらへ」と書かれています。


 ですが「物語の舞台は現代に限りません。人気ジャンルやストーリー展開の中にどんでん返しの要素を組み込むなど、読者の間口を広げることを意識してみてください」という一文もあり、これを見ると異世界やラブコメでも良いようにも読めます。

 

 ……どうにも難しいですね。


 どっちにせよ、運営は曖昧な言い方をやめてもっと早くからハッキリと「こういう作品が欲しい!」と示すべきだったのかなと思います。


 もしくはジャンルで分けるのはもうやめるとか。なろうコンとかはジャンルで別れてないじゃないですか。


 でもそうなると、読者としては目当ての作品を探すのが難しくなっちゃうかも。うーん、難しいですね。



 そんなわけで、今話題のどんでん返し部門のランキングをのぞいてみた私なのですが、そこで面白そうな作品を見つけました。



▫️君が待つ海へ (ホラー)https://kakuyomu.jp/works/1177354054935896783



 あらすじとしては、主人公の颯斗(はやと)は最近ある夢に悩まされていました。


 それは幼い頃に離島住まいの祖父を訪ねた時の夢で、飛び込んだ深く青い海で「何か」を見たというものでした。


 そんな時、颯斗は祖父の法事で夢の舞台である比彌島を訪れる機会を得ます。


 そこ待っていたのは気さく過ぎる島民たち、奇妙な風習、遠縁の少女との出会い。そして、海で彼を待つのは「何」なのか──。



 うん、あらすじだけでゾクゾクしてしまいますね。こういう土着民俗学的なホラー、好きなんですよね。


 しかも、普通の日本の田舎って言うんじゃなくて屋久島の向こうにある離島、というのが他と違っていていいですね。


 筆者の方はそちらの出身なのでしょうか? 南国の描写がすごくリアルで、引き込まれます。


 文章も、読みやすいのに南国やホラーの雰囲気にピッタリな妙な質感というか湿度があって、高い筆力を感じさせます。


 美しい海とそこにいる「何か」。本土とは違う、離島の風習。じわりじわりとした恐怖。


 やがて「何か」の正体が説明されるのですが、何となく感じる違和感。海に潜む「何か」の本当の正体は――。


 面白くて、一日で十二万文字一気に読んでしまいました。気になる方は是非!!

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