第28話 2087年12月21日 青森県青森市八戸区階上村 旧階上町中央体育館
ハンマーキュービックを巻きながらも暫定県道221号線に乗ったラシーンマークツー、車窓の向こうには、老朽化激しいアーチ形天井の旧階上町中央体育館
嘉織、目敏くも
「ここならいけるか、純、竜骨に切り身は、」
純、はきと
「二十日前に点検したよ、」
佐治、訝し気に
「物騒な話題そうですね、」
嘉織、打ち消す様に
「もう廃墟だよ、行く、」
アンカー
旧階上町役場中央体育館の、容易くも不自然な搬入口に、獣避けバンパーから勢い良く滑り込むラシーンマークツー、急ブレーキをしてはドリフト反転し、体育館ど真ん中にて待機
嘉織、はきと
「直上弾幕時差誘発、」
佐治、前面コンソールボタンを眺めては
「嘉織さん、そんな武器有りますか、」
嘉織、前面の搬入口を見つめたまま
「ここはノリだって、来るか、電磁弾幕、静電気誘発放出弾用意、」
純、モニターを次々タッチしてはイジケターを上げる
「エレクトリックボム、信管三秒に再設定、」
嘉織、迫る爆走音を確信しては、はきと
「射出、」
純、凛と
「エレクトリックボム、全8弾射出、」エディター画面からの横並び発射ボタンを一気にタッチを滑らす
ラシーンマークツーの後方上部万能武器格納部より、エレクトリックボムが傾れ込む様な全射出と同時に、搬入口を更に轟音と共に蹴破り追い縋るハンマーキュービック、ラシーンマークツー巧みに急発進し躱しては搬入口に滑り抜ける
体育館天井にめり込むエレクトリックボムがきっちり三秒後に空気通電振動炸裂、間も無く竜骨に切り身の入った天井がしなる様に崩壊、中央盛り上がった天井より先に、全天井がようよう沈む旧階上町役場中央体育館
暫定県道221号線で立ち止まるラシーンマークツー、なだれ堕ちる全天井を確かめては、漸く背後から視線を戻し、嘉織ににこやかも次第にしかめっ面に
「これでもか、」
佐治、訝しながらも、手を差し出す
「皆さん、ここ、ハイタッチは無いのですか、」
嘉織、耳に手を当てる素振りで
「無いね、この唸り聞こえるだろ、」
純、幾ばくか車内スピーカーのグラフィックイコライザーをオフにし
「あの低音聞こえるよね、依然、火星の機動音検知中だよ、」
嘉織、うんざりと
「だと思ったよ、」
佐治、ただ唸り
「良い檻だとは思いましたが、竜骨綺麗に折れてますよね、出れますかね、」
純、ぽつりと
「ここ、最終対決の場所にセッティングしようと思っていたのに、やはりなのかな、実際は皆巻き添えになって、竜骨刺さっちゃうものなんだね、」
嘉織、神妙に
「まあ、思ったより空気振動強かったかな、防御兵器でも信管変わりに使えるなら、無敵だよ、いけるなラシーンマークツー、」ハンドルをばしと叩く
純、嬉々と
「そこは、階上村のトラップがあればこそだよ、」
嘉織、くすりと
「全く、純にはメンテナンスで面倒掛けるね、」
佐治、さもうんざりで
「あなた方姉妹は、本当に空恐ろしいものです、」
純、ふと
「それ、今更かな、」
嘉織、佐治にどんと肘入れ
「佐治も、ここはおべっかだろ、」アクセル踏んでは発進へり
轟音再び、沈む旧階上町役場中央体育館の屋根を飛び出る、ハンマーキュービック、崩れ落ちた体育館の竜骨で串刺しになるも、ぎこちなく自転しながら激しい回転に達し、強引に竜骨三本を振り切り放出、竜骨の飛び出した衝撃で一気に残った側壁が崩れ去る旧階上町役場中央体育館
ハンマーキュービック残骸を踏み越え躍り出ては、画像認識、雪道のタイヤ後を辿っては、進んで来た来た暫定県道221号線に再び乗る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます