本が読みたい

「ねえねえ、本が読みたいよ」

「じゃあ、タブレットで読めばいいじゃないか」

「そうじゃなくて、紙でできた本が読みたいよ」

「じゃあ、図書館で読むといい。入会費十万円かかるが一冊借りるにつきPポイントが一点つくぞ」

「そうじゃない、そうじゃない。自分の本が欲しいんだよ」

「義男、未成年は本を買えないんだ。本は二十歳をすぎて成人しなくちゃ買えない」

「どうして?」

「本は危険なものなんだ。一日中読みふけったり、夜も寝ないで読んでしまったり、運動不足にもなって体に悪い。それに環境にも悪い」

「なんで?」

「本は紙でできているだろ。紙は木でできている。本が十万部売れるたびに東南アジアの森が百ヘクタール消えていくと言われている」

「そうなんだ。じゃあタブレットで我慢する」

 義男は自分の部屋に戻りました。

「ふー、助かった。紙の本は税金が高くて一冊、十万円もするんだ。おいそれとは買えないよ」

 お父さんは税金が高くて一本十万円する煙草をふかして言いました。

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