　営業の最中、あまりに腹が減ったので、目に入った中華料理店の暖簾をくぐった。店内はレトロを通り越して、世界遺産ものの古さだった。

　メニューを読む。するとチャーメンというのがあって気になった。

「このチャーメンというのはチャーハンとラーメンのセットかい？　それともソバメシみたいなもの？」

　と店主に聞いたら違うという。

「どんな味だい？」

　と尋ねてみると、

「『気絶するほど悩ましい』味です」

と店主は答えた。その指にはギターだこがあった。

（若い者には分かるまい）

　俺は思った。

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