ノスタルジアの箱

作者 六月雨音

紫陽花の祝福

  • ★★★ Excellent!!!

数ある花のなかで、紫陽花をもっとも愛する
わたしだけれど、それを打ち明けるまえに
あなたはわたしのなかに紫陽花の色を
読みとってくれましたね。

むかしね、紫陽花が好きだといったら
花言葉をわざわざ教えてくださる方がいて

「紫陽花には高慢、移り気な方、貴女は冷淡です、
乙女の夢、などという意味があるのだそうです」

と聞いてもいないのに、わたしにむけて
そんな呪詛を吐いたそのひとが誰だったか
もう名前も覚えてないのに、そういわれたことは
わたしのなかに火傷のように痕を残しているの。
その言葉にこんな返事をしたことも。

「それだったら、あの花が少女だとして
美しくて傲慢で冷たくて、ふたつの相反する心を持っていて
どちらがほんとうの自分なのか自分でもわからなくて
それに苦しみながら、おもてにはいっさい表すことなく
内面で叶わない夢を育んでいる乙女、ということになりますね。
おともだちになりたい! と思ってしまうわたしは
どこかおかしいんでしょうか?」

なんて馬鹿なことをいって、相手を黙らせてしまいました。
そして言葉にしてからね、わたし、自分が少女だったら
紫陽花のような少女になりたかったんだ、と気づいたの。

あなたがそんな夢を叶えてくれました。
紫陽花の「少女」を、詩のなかに閉じこめてくれて、ありがとう。
あなたの詩のなかで、わたしが生きることができたらいいのにね。

レビューではなく、長いお手紙になってしまいました。
感謝と愛をこめて。

あなたに紫陽花の祝福を。

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