第50話 到着!

 低レベルで悩む俺への、菜々芽の励ましはその後も続いていた。


「あ、お兄ちゃん。もしかしてあたしのためにガマンしてるの?」


 うん、意味深だね。

 ガマンしてるのはレベル上げのことだからね。

 そして、ガマンしてたからレベル2ってわけでもないんだけどね。


「あたしのことは気にしなくていいんだよ。むしろ○○\ピー!/るようにあたしが手伝ってあげる! さあ思いっきり○○\ピー!/て! あたしが見てる前で○○\ピー!/て! あたしはたま○○\ピー!/ついてただけなんだから!」


 こ、これはまた……!

 えーと、「ヌける」に「ヌいて」に「ヌいて」。

 どうやら最後のは「たまたまついてた」って言ったようだ。


『ハァハァ、ナナメちゃんは男の娘……!!』


 おい女神、お前は黙ってろ。


 しかし、嵐のようなピー音の連発。

 放送禁止用語を連発するバラエティ番組かよ。

 蝶ネクタイのこうかはばつぐんだな!


「ナナメ……おそろしい娘……っ!」


 シェリルはシェリルで、あまりのことに白い目になってるし。

 でも俺も末恐ろしいと思う。無意識でやってるとは思えないよな。


「よし、とにかく準備は整った。次はギルドに向かうぞ!!」

「「「おおーっ!!」」」


 俺たちはギルドに向かった。

 いよいよ俺の冒険者デビューか……!


 そしてほどなく、ギルドがある建物に到着する。

 いささか興奮気味の俺は、喜びのあまり両手を上げた。


「よっしゃー! やっと着いたぞー!」


「何!? おいアラタ、誰を突いたというのだ!?」


「だから違ぇっつーの!! 誰っておかしいだろ!!」


「そうだよシェリルお姉ちゃん。お兄ちゃんはつかれ\ピー/方が好きって言ったでしょ?」


「そうだったなナナメ。つかれる方が好き……か」


 ――ぴとっ。

 いきなりシェリルが俺に引っついてきた。


「うぇっ!? ちょ、シェリルやめろよ!!」


 まるで恋人のように、シェリルが俺に寄りそっている。

 こんなに近くに女の子がいるなんて……!

 肌のぬくもりが伝わってくるし、甘い香りがする。


 って、ドキドキしてる場合じゃないだろ!!


「……か、花梨!!」


 花梨なら、きっとシェリルを止めてくれるはず!

 そう思って呼んだのだが……。



「新太は突かれる方が好き。新太は攻めより受け……ハァハァ」



 花梨が……何やら熱心にメモを取ってる!?

 

 え……? 花梨、お前まさかBL好きなのか……?

 ええい、だからといって俺で妄想するんじゃない!

 妄想の中で俺をどうする気なんだよおお!!

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