第49話 魔封じアイテム②

「んで、その変声機がいったい何だっていうんだよ?」


「ナナメ、まずはこれを装着してくれ」


「はーいぴょん。ぴょんぴょんっと」


 菜々芽はうさ耳のヘアバンドを外すと、シェリルから受け取った蝶ネクタイを胸元につける。あー、うさ耳外しちゃうのかあ。でも蝶ネクタイもイイ。

 うむ、菜々芽は何をつけてもかわいいなあ。


「じゃあアラタ、ナナメが魔法を使うように仕向けてくれ」


「……ええ!? そんなの狙ってできるもんじゃないだろ!!」


「いいや、アラタならできる。頼んだぞ」


 まったく、どんな頼られ方だっつーの。

 さて、菜々芽に何を言わせればいいだろうか。ふーむ……。

 少しの間考えると、俺は菜々芽に会話をふった。


「なあ菜々芽、どうやら菜々芽は俺よりもレベルが高いらしいぞ」


「レベルって、お兄ちゃんのゲームに出てくるような、あのレベル?」


「そうそう。すごいなー菜々芽は。お兄ちゃんはうらやましい!!」


「えっ、そんなことないよ!」


 菜々芽は一瞬驚くと、すぐに俺を励ましモードに入る。


「だいじょうぶだよ! あたしなんてまだまだだもん。お兄ちゃんならすぐに○○\ピー!/るはずだよ!」


 よし、狙い通りだ。菜々芽は「ヌける」と言ったようだな。

 うっ……。お兄ちゃんは、ヌけると言った菜々芽でヌけちゃいそうだぞ。


 それにしても、今入ったピー音は何だ?

 これが蝶ネクタイの効果なのか?


「すごいな、さすがはアラタだ。ここまで狙い通りに言わせられるとは」


「いや、褒められてもあんまり嬉しくねーよ。それで、このピー音は?」


「フッフッフッ。この変声機はエロい言葉に対して自動的にピー音が出るようになっているのだ。これで菜々芽の魔法は出ないぞ」


 なるほど、そういう効果なのか。

 確かに菜々芽の魔法をふせぐにはうってつけだな。



「それにしても……すぐにヌけるのか。さすがはアラタだ」


「だから俺は早漏じゃねーよ!! 何でも褒めるな!!」

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