第31話 ~レイドボス・ネオビードル戦・完~

 カナタの打った銃撃に、ネオビードルは洞窟の壁に叩きつけられた。


『何!? 何が起きたの!?』


 リーナの声が通信機から響く。


『分かんない……。とりあえず、ネオビードルの角に引っかかってた人は居なくなってるけど……アイカちゃん、大丈夫?』


「うん、大丈夫……」


 アイカは目の前にいるエルとカナタを見ながら応答した。


「ね、凄い、仲間が居るの?」


 エルはアイカの腕に捕まると、通信機を覗き込む。


「うん……ルナシスっていうチームに……」


 すると、エルの瞳が輝き出した。


「本当!? ね、ね、あたしも一緒についていきたい!」


「えっ!」

「えぇっ!?」


 アイカとカナタは同時にエルを見る。



「アイカさーん!!」


 その場に、ユララムが合流する。


「大丈夫ですか、アイカさん!」

「あ、うん、あれ、何か怪我したかもって思ってたのに……。身体、全然どうもない……」


「エル、かな……」


 カナタは不思議そうにエルを見てつぶやく。


「えっと……あなた方は?」


 ユララムは少々訝しげにエルとカナタへ視線を向ける。


「僕は、カナタ、です」

「あたしはエルだよー。今、この子についていくとこだったの。ね、カナタ」

「え!? え、僕まだ何も言ってないよ」


「ふぅん……。そうなんですね」


 ユララムが立ち上がると、突如、激震が訪れたと思うと、視界の前に鋭い角が壁に突き刺し始めていた。


「きゃっ!!」


「きゃぁー!」

「うぉぁああ!!」


 アイカは頭を守り、エルはアイカの腕から転がり落ち、カナタは寸前のところでユララムに抱えられる形で助けられた。


「おっと……君、凄いなぁ……」

「タメ口……まぁ、俺より年上ですし」

「え?」

「いえ。あなたの所属するチームは?」

「チーム? なんだい、それって」

「……あぁもうゼロさんですか。分かりました」

「え?」


 ギャラクシー・ウォーの窓口の人物がニヤリとするのが分かった。


「えっとその、君の名前は?」

「俺はユララムです。カナタさん、戦えますか?」

「あぁ、僕の意思じゃないけど……なんとか、力にはなれるかもしれない」


 ズズ……、とネオビードルの角が壁から抜け、次の攻撃態勢に入ったかと思えば、ユララムとカナタの元へ角が勢い良く迫ってきた。


「なってもらわないと困ります……っ!」

「うぉぁ!! 分かった!!」


『ネオビードル、ロックオン』


 カナタの身体は宙に浮きつつも、腕がアナウンスと共にガッチリ固まる。


 ユララムは着地する最中、カナタへ補助魔法を唱えた。


「ウォールド! スピーディア!」


「ったく、どうなってんのか分かんないけど! どうにかしてくれ!!」


 カナタの身体が、ユララムの魔法により光を纏う。


『発射』


 ズドッ、ズドゥン――――!!


 プラズマガンから閃光が解き放たれ、ネオビードルの腹部を直撃した。


「ぃよぉっし! フルボッコぉおお!!」


 リーナが勢いよく物陰から飛び出すと、ネオビードルの腹部へ短剣で連続攻撃を繰り出す。痛みからネオビードルは仰向けになって脚をバタバタと動かし始めた。

 リーナの攻撃により、アイテムが光り輝いて生まれ出てきた。


「おーれもっ!!」


 マイキーは呪文を唱え、ネオビードルの揺れる巨体に捕まり、ネオビードルの瞳目掛けて攻撃を放った。


「ファイアー・アロー!!」


ギシャアアアアア!!!


「アイカさん!! トドメを!!」


 ユララムに叫ばれ、立ち上がるアイカ。手には、ロングソードが戦闘服から転送されていた。


 その姿を見上げたエル。


 アイカは息を思い切り吸い、高く地を蹴り跳ね上がると、ネオビードルと垂直になる位置まで上がった。頂点に達した時、ロングソードを構え、息を吐くように、剣を振り下ろした。


 その光景をエルとカナタは、綺麗な姿だと心から魅入っていた。

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