第29話 ~レイドボス・ネオビードル~
チーム・ルナシス艦の艦長、ルミナはネオビードル戦へと向けて行き先を入力していた。
「よし、おっけ。接続できた。転送装置の準備も完了よ」
“ウ゛ンッ”という音と共に、転送装置から空間が生まれるのが分かった。
「装備はバッチリ? 皆、気をつけて行ってきてね」
「行ってきますっ!」
その言葉に、ルナシスメンバーは転送装置へ向かた後、ルミナにグーサインを掲げると姿は消えていった。
「皆、行ってらっしゃい」
ルミナは笑顔で手を振って見送った。
ルナシスメンバーが着いた場所は、薄暗く、土の匂いや湿り気が漂っていた。
「ひゃっほう、この感覚も久々ぁ!」
マイキーは地に足が着くなり気分が上昇している。
「うわ、ここ超湿ってる。湿気って嫌だー……。ねぇ、アイカ」
「うん。集中しにくいね」
リーナがアイカへ同意を求めつつ
「まぁ、俺も嫌ですけど早くネオビードルを倒せばいいじゃないですか」
「ったくコイツは本当に簡単に言うわよね!」
「す、すみませんっ」
リーナはユララムにこれでもかというくらい近づいて舌打ちすると、たじろくユララム。
「あっはは、まぁまぁ。俺達がここに転送されたってことは近くにいるのかもね」
マイキーはゴーグルを装着した。
「お! 出た、マイキーの秘密道具っ」
「別に秘密じゃないけどね?」
そう言いつつ、周りを見渡すマイキー。
「そうだ、皆さんの防御力と敏捷力をあげておきますね」
ウォールドとスピーディアの術を唱えるユララム。マイキーはその姿に、はっとする。
「ありがとね、ユララム」
リーナは力が加わったことにより気合が入り、拳を握る。マイキーはウォールドとスピーディアの術を見ながらふと気がつく。
「そういえばさ、俺今気がついたんだけど」
「はい?」
マイキーが続けて話そうとした時だった。
ズシン――!
体中に、地響きを感じるメンバー達。
「うっわ、ごめんユララム、話しはまた後な!」
「はいっ」
マイキーがユララム、そしてアイカをちらりと見る。アイカはマイキーへどうしたのだろうと思いながらも、確実に近づいてくる地響きに集中せざるを得なくなった。
「皆、ネオビードルの巨大なツノで突き上げられたりとかしたら即死よ、即死」
「まぁ、死なないけどね」
リーナの言葉を遮るような発言をしたマイキーをギロリと睨み、睨まれたマイキーは苦笑する。
「まぁ……。でも、死ぬほどの痛みとか感じたくなかったらバラバラに岩陰に隠れて置くべきだと思うわ」
「うん、それは私も賛成」
アイカは頷くと、同意を得たことに頷くリーナ。
「じゃあ、皆それぞれ岩陰に解散!」
「了解!」
ユララムに敏捷力を上げてもらったメンバーはそれぞれの場所へと散った。
・・・
「わ、わ、どうしよう。カナタ、近づいてきてるよっ」
エルはカナタの黒髪をくいくいと引っ張る。
「しーっ! 痛いしさ! エル、頼むから黙ってて」
「ぎゅんむっ」
カナタはエルの入った戦闘服のポケットを反射的に押さえ、息を潜める。
その時、地響きが止んだ。
「あ、れ……」
「どうしたのかな? カナタ」
「さぁ……」
静まり返り、カナタが岩陰から様子を見ようと顔を出した時だ。
洞窟の奥からうねり上げるような突風が吹き荒れ、体中叩きつけられる。瞬間に腕で視界だけでも守ったが。
「う、わ!!?」
その突風に巻き上げられてしまったカナタの身体。叫び声を上げていると、すぐに背中に衝撃が走り、激しく揺らされる。
「っで!! ……な!? 何だ!?」
「ひゃ!!? カナタ、大変っ!!」
激しい豪風に揉まれる中、エルはカナタの戦闘服からどうにか目元まで出ると、状況を把握しようとする。
「な、何!? どぉしたのエル!?」
「すっごくすっごくすーーっごく大きな何かの生き物に引っかかってるみたい!」
「ええええ!!?? 何それ余計わかんないよ!! うわぁあああ!!!」
カナタの身体は巨大な生物に捕まった形で激しく揺さぶられるまま共に飛ぶのであった。
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