~私は、戦う~ ③
アイカの身体が、そこに居たはずだったのだが、ライトの視界から瞬時に消えたのだ。
「うぉおおおおおおお!!!!!」
声だけは、はっきりライトの耳に届いた。
そして、鋭い衝撃。
タランチュグラの数本の脚がライトの身体を華麗にすり抜け、遠く離れた木々へ爆音を立ててぶつかり、落ち、デジタル化されて消えた。
木々が、めきめきと音を立てて倒れていく。
ライトが息を呑んでいると、続けて衝撃が襲う。
タランチュグラの脚が更に数本奪われ、本体が地面に落ちたのだ。
「アイ……カ……?」
「はぁあああああああああ!!!!!」
声が、空の方からしたと思い、見上げるライト。
あまりの輝きに、目を細める。
防具から発せられる光と、そして、ロングソードが太陽を反射させている。
砂埃で、ステルスのスキルを施されていたタランチュグラの本体部分の姿が露わとなり、隙だらけとなった腹に、アイカは勢い任せにロングソードをぶち込んでいった。
タランチュグラの断末魔の鳴き声が響き渡り、暴れだす。
アイカが着地したと思えば、バランスを崩してよろめく。着地はまだ慣れていない。ライトは着地したアイカを瞬時に抱きかかえ、暴れるタランチュグラから離れる。
ある程度距離を置いてから止まると、アイカはライトから落ちるように座り込んだ。
アイカと、ライトが呼吸を整えているうちに断末魔は次第に小さくなる。
「アイカ、お前……」
「私も何が、何だ……か……」
「おい!?」
ライトはとっさに、倒れていくアイカを受け止めた。
腕の中で、アイカは意識を失っていた。
今までのは一体何だったんだとライトが驚いていると
タランチュグラはまばゆい光を放ちだし、デジタル化され、消えていった。
代わりに、光り輝く大きなクリスタルが現れた。
半ば放心状態のライトであったが、アイカを抱え、クリスタルのある場所へと連れていく。
クリスタルへと腰を下ろし、ぐらついたアイカの上半身を支えながら、アイカの手をとった。それは、片手では持ちきれない程の大きさであるしっかりとした結晶のクリスタルだった。アイカの指先をクリスタルに触れさせると、まばゆい光を放ち、アイカの通信機へと収められた。
「これは……お前のだ」
ライトは驚きつつも、安堵の表情でアイカを見つめたのだった。
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