第13話 ~ゴーグルから見つめる世界~ ①

 艦内にはルミナが一人、艦長席に座り、神妙な表情を浮かべていた。


「分かったわ、情報ありがとう。あの子達なら大丈夫だとは思うけど……万が一の事があれば、その時は……」


 “ゲートが開きます” “ゲートが開きます”


 いけない、集中しすぎてたわね。


「ごめんなさいね、皆が戻ってくるから、また……。えぇ、感謝するわ」


 ルミナが通信を終えると、ふぅ、とため息を着いた。

 それと同時にチーム・ルナシスはユララムを率いての帰還。

 転送機にチームメンバーの姿がはっきりと存在し終えた。


 ルミナは何事も無かったかのような表情をチームメンバーに向けた。


「転送完了ね。皆、お帰りなさいタランチュグラ戦、無事に終わったみたいでよかったわ」


 ルミナは腰のリボンを陽気に揺らしつつアイカの元へ更に駆け寄ると、力強く抱きしめた。


「んもうアイカったら本当凄い! あのLv.50のタランチュグラを倒しちゃったなんて! しかも、このルナシスを支えてくれる立派な戦力にまでもなって……!!」


 艦長はそれぞれのステータスを把握することが可能だ。アイカのレベルアップ後のステータスも全部、艦内から見ていた。ルミナの表情は喜々としていて、我が子が成長したかのような熱い視線をアイカに向けた。


 アイカ普段、褒められると作り笑顔を見せる癖が出来上がっていたが、純粋としたルミナの表現に、次第に心から嬉しくも恥ずかしくなり、顔を紅くして俯いた。


「えっと……、私だけじゃなくて、ユララムさんも居たし、ライトも居てくれたから……」

「いや、俺は何も出来てねぇってっ」

「ふぉふぉふぉ、ワシの力が役に立てたなら本望じゃ」

「ほらライト、謙遜しないのっ」


 リーナはライトに目配せをすると、目を伏せ、静になるライト。

 いつもより大人しく感じるライトにどこか違和感を感じるリーナ。しかし今は新しい仲間が出来た喜びの方が勝っていた。


「そ、し、て! まだまだお知らせがあるの、ルミナ」


 リーナは嬉しそうにユララムに両手でヒラヒラとして迎えた。


「私達の仲間になりましたぁ! ユララムさんでぇーっす!」


 ルミナはユララムと呼ばれた人物を頭から足先までしっかりと見つめる。


「おじい、さん? あら、あなたのアバター珍しいわね」


 ルミナの言わんとしているのは分かる。見た目と歳が一致しないのはリアルのゲームでは当たり前のように行われているが、ここにいるメンバー達は年相応に見えなくもない。


 何が基準で、アバターって出来上がってるんだろう。


「まぁ、人それぞれだろ。遊びたいって気持ちは幾つになってもあるんじゃねぇか?」


 ライトは何かを想っているのか、誰にも視線を合わせずに発した。


「まぁ、それもそうね。遊びたいっていう気持ちは大事だわ、うん」


 失礼な事言ってしまったわね、とルミナはユララムに苦笑した。


「いいんじゃよ。老いぼれは気持ちだけは暇じゃから、余暇を楽しみたくなる」


 どうもアバターについては話し出せる雰囲気でなくなってしまい、アイカはまた機会があったらにしようと、口を閉じた。

 ライトの様子がいつもと違うこと。自分達のアバターよりもそちらの方が気になってしまった。


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