6-15 ミャアザのピラミッド その3
大精霊「
玄室上空を旋回しつつ、ひろげた翼から火属性の全体魔法「ファイアレイン」を絶え間なく降りそそぎ、こちらが防御一辺倒になったところで、突如、弾丸のごとく急降下。炎をまとった巨体をぶつけてくる。石床に激突して朱雀自身も大ダメージを負うというまさかの捨て身攻撃「フェニックスアタック」は火属性に耐性をもつ装備でなければ
だが、ゲーム性を重んじるこのグランイマジニカでは解法のない敵も存在しない。輪廻転生の発動条件を丹念に探っていけば、ただ自滅すればよいわけではなく、あくまで火属性の攻撃によって
ならば、攻略の基本方針は朱雀がフェニックスアタックで自決することのできないギリギリの残体力を見極めて火属性以外でいっきに倒すこと。パーティーであれば水属性をからめた集中砲火。ソロならクリティカル率が高い水属性武器での連続攻撃がセオリーとなる。
だが、30周を極めし俺は更なる奥の手を考案した。名付けて「フェニックスカウンター」。急降下してくる朱雀を狙いすまし、居合いの剣速に相手の落下速度を上乗せした破壊力抜群のカウンターをぶちあてる魔技である。この技には朱雀の残体力の見極めが最も重要となるのだが、そこもしっかりと解法が用意されていて、頭頂部から伸びる孔雀の羽根のような
俺の朱雀攻略の最低レベル記録は20。レベル45に達した今は降りそそぐファイアレインの炎滴の一粒一粒すらとらえることができるほど動体視力が研ぎ澄まされ、カウンターのタイミングをはずしようがない。むしろ、俺が危惧しているのはこの全身を貫く怒涛の性衝動を正しく処理できるかどうか。
調子にのってユズハの生尻を揉みまくった結果、柔らかな温かみが手に残り、指先で押しひろげた禁断の扉の先の秘密の花園が目に焼きついて離れない。いまはまだ理性で制御できているものの、それは曲がりなりにも今が戦闘中で、意識と力が朱雀に向いているからにすぎない。こいつをサックリと倒してしまって昂ぶる気持ちを叩きつける相手がいなくなったとき、俺は果たしてユズハの健康的で豊満な肉体を前にしてまだ良識を保っていられるかどうか。
ユズハが穏便な方法での処理に協力してくれればよいが、もし恥ずかしさのあまり拒絶されたら、股間の獣性に支配された俺は情けなく拝みたおしながらも結局は力尽くで彼女の純潔を奪ってしまうかもしれない。
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『 ユズハ・ケットシー 』
勇者カガトの仲間にして婚約者。盗賊団『オシリス団』の団員。
【種 族】
【クラス】 シーフ
【称 号】
【レベル】 17(D級)
【愛憎度】 ☆/☆/☆/☆/-/-/- (C級 カガトとなら……)
【装 備】 つらぬき丸(A級)
隠れ
【スキル】 短剣(D級) 弓(F級) 投擲(E級)
索敵(D級) 開錠(E級) 罠(E級) 追跡(E級)
交渉(F級) サバイバル(F級) 薬草学(F級) 猫会話(E級)
隠密(C級) 乗馬(F級) 木登り(E級)
裁縫(F級) 料理(F級)
盗賊の
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幸いにもユズハの愛憎度は星4つのC級にまで上昇している。強引に迫っても受けいれられる素地はあるものの、すでに愛憎度B級で日々さまざまなコミュニケーション活動を欠かさないセシアやネネとは違い、
ならば、どうすればよいのか?
これから続く健全でイチャイチャラブラブなハーレム生活のため、やはり、勘の鋭いユズハには下手に隠しだてをせず、俺の偽らざる気持ちをさらけだすのが上策であろう。ユズハに対する純粋で真摯な俺のエロ魂を、誠心誠意、態度と言葉で示しつづけ、合意のもとのエロを目指すのだ。
「ユズハ、俺の願いをひとつ聞いてほしい」
ピュイイイイ!!
朱雀の甲高い雄たけびと共に燃えさかる炎の雨が玄室内を蹂躙し、壁際で曲芸のように身を躍らせるユズハのもとにも容赦なく火の粉が降りかかる。俺は下校時の突然の雨にサッと傘を差しだす男子高校生さながらに聖鞘エクスカリバーをユズハの頭上にかざした。
振りかえるユズハ。自分の身体から煙が昇るのも気にせず、優しくほほ笑みかける俺。ファイアレインの
「カガト、痛くないのかにゃ? アタシはこんなの全部よけられるから、守ってもらわなくても大丈夫にゃ」
「さっきの続きをさせてくれないか? もう限界が近い」
俺のエロ正直な告白に、ユズハは目をパチクリとさせて、
「にゃ!? いまは朱雀に集中しないとヤバいにゃ!」
剣をもった右手で、そっとお尻に触れる。
「こら、ダメだって言ってるにゃ」
手をぞんざいに払いのけられるものの、盾でファイアレインをいなしながら哀願のまなざしで訴えつづけていると、ユズハは諦めたように嘆息した。
「……ほんとうにカガトはスケベにゃ。わかってるにゃ。アタシもいちおうは婚約者だし、け、結婚する予定だし、セシアやネネみたいには上手にできないかもしれないけど、あの、えーと、朱雀を倒したら手でしてあげるにゃ」
恥ずかしさのあまり早口になって、視線を逸らせながらつぶやく。
「ありがとう、ユズハ」
「アタシもカガトに聞きたいことがあるにゃ」
炎が跳ねとぶ中、ダンスを踊るようにユズハの腰を右手で軽く支えながら、ファイアレインの縦断爆撃を避けつつ、ステップで移動する。
「アタシが一番か、にゃんて意地悪な質問はしないけど。セシアやネネと同じくらい、アタシのこと、好きかにゃ?」
「もちろん。俺はユズハのことが大好きだ。ちょっと吊りあがった目や、笑うと八重歯がのぞく口もとや、ふさふさの猫耳と尻尾がたまらなく可愛いという理由のほかに仲間を気遣う優しさや機転のきく頭の良さ、他に100個は言えるけど、言葉よりもこれからの人生を懸けた態度と行動で示していくつもりだ」
「こんなにスラスラ言葉が出てくるにゃんて、やっぱりカガトは根っからの女ったらしにゃ。ずるいのにゃ」
長いまつげがしばたき、ユズハの頬がゆるむ。炎の雨がいったん
「
「カガトは子づくりしたいだけにゃ」
「幸せにする。いや、幸せをいっしょにつくろう」
右手の甲をユズハのお尻であてがうと、今度は払いのけることなく受けいれてくれた。双丘にそって動かすと、あうん、と嬌声がこぼれる。
「――我が領域を乱す者。塵となり、滅せよ!」
朱雀の首がわずかに下を向き、急転直下、炉で鍛えた刀身のように赤熱したくちばしが俺たちを狙って落ちてくる。
俺は目の端でそのタイミングをとらえると、ワルツでも躍るかのようにユズハの肩を抱いて、くるりとターンし、優雅なサイドステップでかわした。
背後で朱雀が床に激突し、爆風がユズハのくせっ毛を跳ねあげる。
俺は長い口づけを終えて、頬の上気したユズハを解放した。
身体をひねりながら大きく一歩踏みこみ、飛びたつ朱雀の胴に一撃。怒れる炎の翼撃をかがんでやりすごすと、下からすくいあげるように真っ赤な羽毛におおわれた胸を斬りあげ、返す刀で翼の付け根を斬りさげた。
炎の羽根を散らしながらも朱雀は天井まで舞いあがると、
「すべてを支配できるとうぬぼれる高慢な竜王、そして
ひろびろと羽根をひろげ、再び上空から降りそそぐ炎の雨。
「悪いな。今回は時間がない。ヒカリのためにも、俺自身のためにも、いつものように落ちてくるのを悠長に待ってはいられないんだ」
俺は
青白い瞳までも炎に包まれ、くちばしが間近に迫った俺が息を吸いこむと、朱雀の身にまとう熱気がのどを焦がす。だが、俺は冷静に間合いを測り、エロスカリバーを振りかぶると、渾身の力で灼熱するくちばしに叩きつけた。
鋼鉄同士がぶつかる衝撃に手が震え、剣先はわずかに逸れて朱雀の首筋を浅く切り裂いた。
朱雀が両の翼をひろげ、溜めに溜めてバサリと大振りに打ちつけると、降りそそぐファイアレインが一箇所にあつまって巨大な炎の塊となり、俺に襲いかかってきた。
跳躍した勢いのまま、俺は息を止めた状態で、両腕を頭の前にクロスさせて炎熱に突っこむ。一瞬視界が赤く染まり、全身の肌がピリピリと焦げてめくれたものの、そこを越えると目の前に朱雀の姿が見えた。聖剣エロスカリバーを両手持ちにし、空中で振りかぶると、無防備な胸に突きたてる。
ジュッ! という音と共に俺の手が焼けた。やけどの痛みを「ヒール」で緩和し、朱雀にぶらさがった状態のまま強引に剣をねじこむ。
「――キィイイイアアアア!!」
鳥らしい甲高い叫び声をあげて身をよじり、朱雀が落下する。
ここで「輪廻転生」を発動されては、はじめからやりなおしになってしまう。俺はエロスカリバーの柄をしっかりと握ったまま、ユズハの柔らかな生尻の視覚と触覚を脳内に鮮明に再現した。
早く朱雀を倒して、あのたわわに実った果実を揉みしだきたい! 汁がこぼれるほどにあの奥底までむしゃぶりつきたい!!
すでに固くなっていた股間がさらに怒張し、俺の性的興奮に聖剣エロスカリバーがグンッ!と呼応して伸長する。
「必殺! カガトスラッシュ!」
朱雀の胸部から長々と突きでる白銀の
すねが焼けるのもかまわず、俺が朱雀の胴体に足を踏んばり、渾身の力で聖剣の長く伸びた刀身を振りぬくと、巨大な石でできた壁も天井も切り裂いて、白銀がぐるんと旋回し、朱雀の
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