美味兎屋

作者 一式鍵

71

28人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

読んでいるこちらを惑わす世界でした。現なのか夢なのか、捉えたものが本物なのか虚構なのか、まるでわからない。理論的であって理論的でないような気もする。そんな中間でふよふよ漂うような感覚は、夢の中で揺らされているようにも、水の中で泳いでいるようにも感じられました。脳内をごちゃっとかき混ぜられたのは物語の登場人物ではなく読み手そのものかもしれない。不可思議なこの独特の世界に酔いしれたい方にはお薦めしたいです。

★★ Very Good!!

描写はホラー。迫りくるものがあります。
でも、本当に怖いと思わされるのは残酷シーンのせいだけじゃない。
何が怖いのか・・・面白い作品です。
残酷描写有と書いてある作品はなるべく避けている私ですが、テーマが良さそうだったので作者さんを信じて読み始めたところ問題なく読めました。むしろ何かを考えさせるような怖い作品です。

★★★ Excellent!!!

普通なら見過ごしてしまうような些細なことに注意を向け、ひたすら観察し、「なぜ」を繰り返す。
ありきたりの事象について、どう書き表せばもっとありありと伝えられるか試行錯誤を重ねる。

それは作家にとっての「基礎トレ」のようなものではないかと思います。
夥しいスケッチの山が画家を作るように、膨大な思考と比喩の研鑽が作家を作るのではないでしょうか。

第一線で活躍しているプロの作家の作品を読んだときにしみじみ感じさせられるのは、設定やストーリーの秀逸さは当然として、一流の小説とはまずそれ以前に、なんでもない日常の中からも本質を掬い取る鋭利な観察眼と、執念すら漂わせる1文1文への描写のこだわりで作られているのだということ。
この作品を読ませていただいた時もまさにそれと同じ感覚を味わいました。

禅問答のようなやり取りを繰り広げながらどこまでもどこまでも深く潜っていく思考の世界。それが丁寧で多彩な比喩に彩られ生々しい光沢を放つ・・・珠玉と呼ぶに相応しい、まさに磨かれた宝石のような作品です!

★★ Very Good!!

綴られるその言葉にぞくりと来ました。
時折あるこの言葉の意味が一つ一つの話で異なってきているのも魅力的です。
一読しただけで意味が分からないのも複数あり、何度も読んでみて「ああ、そういうことか」とまるで推理小説の犯人を当てた時のような快感を味わえます。オススメです!

★★★ Excellent!!!

社会で生活するうちに心に宿る人としての「弱み」。
その弱みを、見透かされ、抉り出され、これでもかと見せつけられる。
あんまりだ。もう見せないでくれ。でも……気になる。

仕事の帰り道、奇妙な立方体とそこに住む白衣と眼鏡の男を目にしたら、お気をつけください。
そこの看板の読み方は――。

★★★ Excellent!!!

気づかなかった。
今までこの作品がクトゥルーだったなんて気づかなかった。
しかも現代風にしつつ宇宙的恐怖を正面から描く本式のクトゥルーだ。
私にできることはこれをより多くの人に広め、一目見てもらい、大いなる宇宙の深淵へと誘うことだけである。

このレビューを見たならばそのまま進むと良い。そういう人の為にここは有る。この店の名前はミミトヤだ。

★★★ Excellent!!!

一式さんの作品は幾つか読ませて頂いています。この作品は特に好みです。
それぞれの話は独立していて(だいたい)、1話ずつに違ったテーマがあって面白いです。
彼らが立ち寄る立方体の建物。不自然なほどに目を引くそこにいる店主。また、そこに引かれて行く者達によって違って見えてくるという。
本当に不思議な物語。時には怖くて、でも今を生きるわたしたちに訴えかけてくる文学的な要素もあります。
とにかく、ページを開いてみて欲しいです。あなたにはこの物語、どんなふうに見えますか?
そして、タイトルが読めなくても大丈夫。ちゃんと店主さんが教えてくれますよ。

★★★ Excellent!!!

なんとも不気味な店と、その店主。
いつも客は導かれるかのように店の前へ。
あたかもそれは自らの破滅を自ら招き入れるようで。

縷々彼ら彼女らのその独善をおぞましくも論理的に論破する店主。
らちもない会話であるはずのそれは、いつしか正気と狂気の境目を失わしめます。
ともあれ、それを観測する我々の正気もまた破綻しつつあるのかもしれません。

ほのかに見え隠れするキーワードは、知っていればより楽しめます。
店主の正体の不気味さは、最後にやはりなと思わせるものですよ。
プロとも遜色ない、這い寄るホラーを楽しみたい方は、ぜひ。

★★★ Excellent!!!

 それを恐怖と呼んでしまえば、たちまち認識され、我々の前に姿を現すのだろう。
 人間とは、矮小なる存在で、分かったようでいて、自分の分かるようにしか分かっていない。
 知ろうとしてもいけない、ただ感覚のまま読み進めるべき作品で在る。

 こんなレビューも、はたして書いているのか書かされているのか。

 読後、少し気分転換に外出をするつもりだ。
 そこで、私は見慣れぬ看板を目にするのである。

 これは、何と読むのだろうか?

 店は目の前にあるのに、声の主は背後にいる。
 店主はいつの間にか目の前に佇み、店の中へと誘うのである。

 この不思議な感覚に迷い、もう一度声を確かめる。

「みみとや――だ」

★★★ Excellent!!!

美味兎屋、を当初ぼくも「びみうさぎや?」と読んだ。おそらく白衣の男は無表情に「ミミトヤだ」と言うだろう。
自分が常識だと思い込んでいるモノの根拠の曖昧さ。本当にソレは「それで間違いないのか、何故、それで正しいなんて信じているのだ」白衣の男に言われたらぼくも混乱するだろう。
世の中は、実はわりといい加減に出来ているのに、そこへ勝手にルールを設定して自分たちで困り果てる。人間とはかくも愚かな生き物なのだ。
ジャンルはホラーとなっているが貞子やジェイソンが狂喜乱舞するわけではない。人間の感性そのものがホラーなのだと思わせる逸品。

★★★ Excellent!!!

 幼い頃、好奇心が勝ってしまい読んだあの話……。その時の気分が蘇ってきて、読むのはちょっと止めようかとなる。だが、物語に手招きをされてどうにも止められない。
 あぁ……。ただ微かに風が吹いたのに、髪の毛か糸屑が肩に触れたのに、錯覚なのに……どうしようもなく、気になるこの感覚。
 この作品にはそんな時の気持ちを覚えさせられる。

★★★ Excellent!!!

名著、玩具修理者を彷彿とさせる内容。
その恐怖描写は背筋粟立つものであり、まさにトワイライトな境界を挟んで彼岸と此岸を行ったり来たりする登場人物たちの魅力は計り知れない。
また、純粋に文学としても面白く、総じてハイレベルな作品である。

★★ Very Good!!

人間のエゴを静かなメスで切り込む作品。
じわじわ恐い。
じっくり読もう。

個人的なオススメは第2章セイゼン眼球ケーブル。
映像的な起伏も豊かで、かなりぞわり。