『読書会』へ

 たくさんの大学で定期的に開催されるイベントで『読書会』というものがあります。マリはこのイベントが以前から気になっていたので、思い切って行くことに決めました。


 道中の電車の中には、マリの他にも読書会に向かっている人たちがたくさんいます。ほとんどが学生です。電車が読書会を開催している大学がある駅に着くたびに、乗客は車内で食べていた物を投げ出して大急ぎで走って行きました。車内の床はたちまち潰れた食べ物で汚れて、とても迷惑です。


 目的の大学がある駅に電車が停って、マリが床の食べ物を避けながら電車から降りて駅を出ると、何やらケガをした人がたくさん歩いているのが見えます。「この先で事故でもあったのかしら?」そう思いながら大学へ向かうと近くで銃声が聞こえました。マリと周りの人たちは思わず伏せました。


 「全員、こっちへ来い!」怒鳴り声が聞こえます。声の方を見ると若い女の人が銃を向けて駅の周辺にいる人たちを脅していました。マリを含めるたくさんの人を一カ所に集めると彼女は無差別に一人ずつ選び「3、2、1!」とカウントをして撃っていきました。みんな、自分が選ばれないよう頭を低くして祈りました。


 「この中で撃たれたくない奴!」と彼女が叫ぶと、若い子がひとり必死に手を挙げました。そして皆の前に出されると「じゃあ避けな。3、2、1!」と、結局撃たれてしまいました。

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