　まるで時間を巻き戻したかのように思い出を再生し、体感できるサービスが出来ました。

　思い出再生サービスの申し込みに、お爺さんとお婆さんが来ました。係員にお爺さんは「思い出を再生して妻ともう一度、結婚式をしたい」と伝えます。

　「奥様はそちらの方でしょうか？」係員がお婆さんを指して訊ねるとお爺さんは「いや、妻はもう死んでいる。だから時間を巻き戻したいのだ」と微笑んでいいます。一緒に居た老女はお爺さんの友人のようです。老女は着ていた橙色の鮮やかな羽織を脱いでお爺さんに渡しました。「結婚式の時に妻が着ていた着物だよ。なんとかきれいなところだけ使って繕い直して羽織りにしてある。思い出の中の妻に着せたくて持ってきた。」係員は「かしこまりました。お預かりします」と、丁寧に羽織を受け取りました。