今際の際

 寝室のベッドの上に15才くらいの女の子がいました。その子は銃を持っていてその銃口を自分のクチの中に向けています。そして、バァン と一発、発砲しました。そのままゆっくり倒れてベッドに横たわると「あたし、死ぬ?」と、傍らにいたマリに訊きました。 


 後頭部まで弾が貫通していてクチの中に穴が開いていて向こうの景色が見えました。けれど、血は出ていません。マリは「今、救急車を呼べば死なないよ」と言いました。女の子は力無く笑って自分は自殺をしたかったということを話し始め、それから、人生での失敗や後悔をマリに話しました。生まれてからの人生を語り、話が現在に至ると女の子は目に涙を溜めて「死にたくないなあ」と静かに笑って言いました。マリは頷いて救急車を呼びました。もう手遅れだと、わかっていながら。

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