　マリは小さな丸い宇宙船で宇宙を漂っていました。しばらくはゆっくり星々を眺めていましたが、突然宇宙船の調子が悪くなり、出入り口の扉の金具が緩んで扉が開いてしまいました。一緒に乗っていた宇宙飛行士は扉から宇宙に放り出されてしまってマリは慌てて扉から身を乗り出して宇宙飛行士の腕を掴み、宇宙船の中に引き入れました。そして壊れた扉が再び開かないよう強く押さえ、扉を固定しました。

　しかし扉はガタガタと音を立てていて、またいつ開いてしまうかわかりません。この宇宙船でこれ以上宇宙に居続けるのは無理だと判断したマリたちは急遽、地球に帰ることにしました。地球の人たちに連絡をし、今から帰ることを伝えてマリは準備にとりかかりました。一緒に乗っていた宇宙飛行士は先ほど宇宙に放り出された衝撃で気絶しています。マリはとても心細く、帰りたい一心です。

　『緊急帰還ボタン』を押すと宇宙船は地球に向かって進み始めました。どんどん、どんどん速度が上がってマリはとてもこわい気持ちになりましたが速度の上昇は止まりません。宇宙船は一層、ガタガタと音を立てて震えています。この衝撃で壊れてしまいそうでマリは不安でした。マリの体もバラバラになってしまいそうです。ギュッと目をつむり、マリは無事に帰れるようひたすら祈りました。