小鳥の押し売り
マリはハムスターを飼おうと思いペットショップへ行きましたがハムスターは見つかりませんでした。それだけのことですのに、なぜかとても落胆してしまったマリは家の方へ向かいよろよろと歩きました。
その途中、雑貨屋さんを見つけたのでふらりと立ち寄ってみると、中には木でできた雑貨と、鳥籠に入った小鳥がたくさん並んでいました。マリが鳥を見ているとエプロンをつけた50才くらいの白髪の男性の店員さんが近寄ってきて籠の中の鳥たちを紹介してくれました。
マリが、ハムスターを飼いたかったけれど買えなかったという話をすると店員さんは鳥籠から灰色の体で頭に赤色の入った小鳥を掴み、その小鳥をちいさなちいさなビニールの袋に無理矢理詰めて「これを持っていきなさい」とマリに差し出しました。小鳥はなぜかニワトリのように鳴いています。苦しそうなそれはもはや悲鳴でした。
マリは「こんなに大きな声で鳴くのは飼えません。それに、わたしはハムスターがほしかったの……」と言うと店員さんは無言で袋に詰めた小鳥を籠に戻しました。それからずっと店員さんは恨めしそうにマリを見ていたので、居心地が悪くなったマリは雑貨屋さんを出ることにしましたが、持っていた荷物が重くてうまく動けません。もたもたしながらようやくお店を出たときに、店内に上着を置き忘れたことに気付いてお店に戻りました。
先ほどの店員さんは油絵を描くのに使うパレットナイフを握っていました。そしてマリを睨んでいます。マリは気味悪く思い、足早に上着を回収してお店の出口へ急ぎました。けれど後ろから脇腹を刺されてしまいました。
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