玉ねぎ自殺
病気のネコがいました。治らない病気です。ネコの飼い主の女の子は、治らなくてもせめてネコが病気で苦しくならないようにと、とても高いお薬を買ってネコに与えていました。そのお薬のお陰で、ネコは元気いっぱいに駆け回り、ごはんをたくさん食べることができています。けれどお薬代で、女の子の生活は苦しくなりました。食べるものも少ししか買えず、お洋服もぼろぼろのままです。ネコはその事に気付いて、女の子を不憫に思いました。
そしてある日、女の子がお昼寝をしている隙に、棚から玉ねぎを出してガブリと食べました。ネコに玉ねぎは猛毒です。女の子が目を覚まして、ネコが玉ねぎを食べているのを見ると青ざめました。急いでお医者さんに電話をしましたが、玉ねぎを食べてしまったネコは助からない、と言われてしまい、女の子は泣き崩れました。直にネコは死んでしまいました。女の子は毎日、涙が止まりません。
「わたしがお昼寝なんてしなければ。玉ねぎをもっと別の場所に置いていれば」と嘆きます。周りの人たちは「あのネコは、君が薬代で苦しくなっているのを知っていて、玉ねぎ自殺をしたのだよ。ちがいない」と女の子に言いました。
お金なんてなくても、お洋服がぼろぼろでも、ごはんが少しだけでも、あのネコがいれば女の子はしあわせでしたのに。
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