廃ビルの花売り
マリは、電気が通っていない廃ビルの中で何人かの人たちと暮らしていました。外の明かりにのみ頼った暗いビルです。ビルの中では殺人鬼がひとり、徘徊しています。その殺人鬼はひとつのフロアに長く留まっていて一ヶ月ほど経つと、それまで留まっていたフロアからひとつ上の階に上がって、また徘徊を繰り返すのです。みんなは殺人鬼に見つからないように静かに過ごしていました。
殺人鬼に見つかれば殺されてしまうので、マリたちは殺人鬼がいるフロアのひとつ上に上ってはそのフロア内で一番広い部屋に移り住んでいました。部屋はどれも暗くて冷たいコンクリートで出来ています。みんなは窓辺の床で黄色い花をたくさん生産し、その花を外の人たちに売ることで生計を立てていました。月明かりや街灯の光を受けて暗いオフィスの中で花だけは明るく照らされていました。
そんな状況の中でも不自由無く生活が出来ていましたが殺人鬼がそろそろマリたちが居るフロアにやってくる、という情報が入りマリたちは上のフロアに移住しなければならなくなりました。
「このフロアでやり残した事は無いか?」と男性に訊かれてマリは悩み、売店で92円の弓を買ってから上のフロアへ行くことにしました。弓は92円で矢は1本100円です。矢は消耗品で弓は場所を取るものですから、めんどうなものを買ってしまったかもとマリは思いました。
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