さみしがりな子

 マリは女の子とお家であそんでいました。その子はとてもさみしがりで、痩せていて神経質ぽくて鶏のようにギラギラした印象で髪の色は暗い茶色をしています。その子はマリを気に入っていて、マリに「ずっといっしょにいようね」と度々言います。「うん、そうしようね」とマリはいつも答えました。


 その子とお茶を飲んで過ごしていて、しばらくするとお茶のカップがカラになったのでマリはカップを洗うことにし、席を立ってシンクへ向かいました。


 マリがカップを洗っていると、背後から何やら異様な空気を感じました。あの子がこわい顔をして、じーっとマリを睨んでいたのです。「ずっといっしょにいるって言ったじゃない!」と、その子の心の声が聞こえてマリは驚きました。「ほんの数メートル離れているだけでも耐えられないなんて、なんてさみしがりな子なのだろう……!」振り返って彼女に声を掛けようとしましたが、きっと今はちゃんと話をすることが出来ない気がしたので食器を片付けてからゆっくり話をしようと思い、振り向かずにマリはカップを洗い続けました。

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