第83頁目 ― 39 ― 覚醒? ―

   ― 39 ― 覚醒? ―


 アフロ教授が愕然としていると、隣にいた羽美(うみ)さんの大きな瞳が、赤色になり、まるで瞳から炎がメラメラと燃えているようにも見えた。

「ゆ、許せない!。ワタシは許せない!絶対に許せない!!」

 いきなり突然に、熱血感漂い、闘魂漲る羽美(うみ)さんだった。

 その横で、アフロ教授は今まで見た事もない羽美(うみ)さんの怒りの言葉に驚いた顔を見せた。

「えっ?。う、羽美(うみ)・・・今なんて言った?」

 目を点にさせているアフロ教授。

 すると、怒りを見せたミュータント・ヒューマノイドの羽美(うみ)さんの全身から、怒りのオーラが燃えるような輝きを放った。

「ゆ、許せない!!ワタシは許せない!!」

 何度も、繰り返す言葉。

 両手の拳を握りしめながら、怒りのみなぎるオーラを放ち、羽美(うみ)さんが、一歩ずつ勇次に近づいて行く・・・


 ・・・勇次に近づくにつれて、そのオーラが七色のグラデーションに輝き、そして金色へと変化して行った。


「羽美(うみ)が、羽美(うみ)が今、自分の能力を探し始めている・・・」

 アフロ教授は、這い蹲り驚きながら羽美(うみ)さんの行動を見ていた。 

 も、もしかして、自分の意思に反して覚醒を始めた羽美(うみ)さんなのか?。

 まさか?羽美(うみ)さんが暴走し始めた?

 だ、だとしたら、ヤバい!!

 これは、とてもヤバい!

 羽美(うみ)さんの暴走を早くとめないと・・・あっ!、勇次も止めないと!。


 オレはその場で立ち上がると、とりあえず勇次へと向かった。

 全速力で走るオレと、瞬時で突撃する羽美(うみ)さん。


 その時、勇次が、

 クェェェッグョォォォォ・・・

 と、まるで怪獣のような奇声を無人島に響かせたと同時に、羽美(うみ)さんに向かって、口から強烈な電波砲を放った。

 でも羽美(うみ)さんは、その攻撃を軽くかわし、向かって行った。


 それを見ていたおしめギツネは、負傷している腕を押さえながら、羽美(うみ)さんの後ろを追うように、勇次に向かって行った。


 悪魔と化している勇次。苦戦する羽美(うみ)さん。

 

 ふと羽美(うみ)さんは、シッポにかれた真菜美さんの姿を見て、真菜美さんの危険を感じ、動きを止めた。が、しかし、かまわずに おしめギツネは飛び上がり、三段蹴りで、勇次の目、心臓、金的を攻撃する。

 ブォゴォォォ!

 ズゴォ!

 ビュギュギッ!

 見事に打撃が炸裂し、鈍く砕けるような音が響き渡る。

 

 キュガァ~~グェオオオオ!

 と、奇声を挙げてその場で勇次が激痛する。


 一方その頃オレは、全速力でシッポにしがみつき、なんとか真菜美さんを助けようと必死だった・・・

 その隙を狙い、羽美(うみ)さんが一歩一歩と勇次に近づいて行く・・・

 羽美(うみ)さんが歩いて勇次に近づいて行くたびに、

 手が、腕が、身体(からだ)が、徐々に変化し、覚醒と言う名の変身を遂げ・・・


 ん?

 あれ?、羽美(うみ)さんが、巨大なハエ叩きに変わった・・・

 と、同時に

 バシッ!バシッ!!。

 と勢いよく、勇次の頬を往復ビンタをする。

 が、しかし、勇次は、痛さを感じさせず、

 羽美(うみ)さんは、簡単に地面に叩きつけられた。


 羽美(うみ)さんの能力は、読んだ本とかの記憶力で、変形や変身できる能力なんだ!。きっと、武器などの本を読んで学習はしていないのだろうと思う。

 もっと、もっと武器らしい物になってくれ~~~!頼む羽美(うみ)さん!。

 がんばってくれ、羽美(うみ)さん!!。

 でも、羽美(うみ)さんは、あまり そんな軍事関係の武器の本を読んでいなかった。

 そして、オレの応援もむなしく、地面に叩きつけられた羽美(うみ)さんは、呆気なく元の身体(からだ)に戻ってしまった。


 多分、羽美(うみ)さんの変身は、3分ぐらいしか持続できないらしい。

 頑張れ羽美(うみ)さん!


 そんな展開で、勇次と戦っていると、アフロ教授が円盤に近づき何かをやっているのが見えた。そんなアフロ教授を気にしつつも、必死に勇次のシッポにつかまり、真菜美さんを助けようとしているオレがいる。

「真菜美さぁぁぁぁぁ~~ん!今助けますからね~~~!!」


 その頃、おしめギツネは、何度も地面に叩きつけられては、攻撃している。

 こんなに叩き付けられているのに、多少の怪我だけしかしていない、とてもタフな、おしめギツネだと把握はした。


 勇次の方も少しずつと、進化も遂げていた。

 20メートルぐらいだったのが、今では30メートルにもなっている。


 

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