第60頁目 ― 22 ―  一号室。棺燃 萌炎(ひつぎ もえる)―

   ― 22 ― 一号室。棺燃 萌炎(ひつぎ もえる) ―


 一号室から訪問した二週間前-----


 不機嫌な顔で迎えてくれたタメ口野郎の部屋。

 不機嫌・無愛想・いい加減の三拍子揃っている割には、

 部屋の中が整えられた部屋だ。

 ・・・てか、特撮マニアだけあって、部屋の中には特撮関連の物ばかりが置かれている。

 壁と言う壁一面には、時代別の仮面ライダーやウルトラマンや、戦隊シリーズのポスターが隙間なく貼られている。

 ふと、タメ口野郎の顔を見ると、オレを冷たい視線で見ていた。

 全然全く興味のないオレは、タメ息を一度つくと、

「なぁ、なんだよ!。悪いのかよ!特撮好きがダメなのかよ!」

 と、しかめっ面で喧嘩を吹っかけてくるような口調で言ってきた。

 えっ、いや別に、ただ興味がないだけです。

 別に、そんなに喧嘩越しに言うなよ、面倒くさいからww。

「タメぐ・・・いや、棺燃(ひつぎ)さんの部屋って凄いですね」

 居間の大きな本棚に並ぶ、特撮関連の本ばかり。と、

 ビデオやDVDやブルーレイも立派に特撮ばかり。 が、とても目に入る。

「まあ、俺様の趣味ってこんなもんだ!それで?あと何が知りたい!?」

 これが特撮マニアに世界なのか?。

 でも、これには、凄い関心はしないが、歓心が湧いてくるような気がしてきた。「なにか、俺様の部屋に不満でもあるのか?!早く言ってみろ!」

 いかにも今から胸座むなぐらをつかまれそうな勢いだ。

 だんだんと早く帰りたい気もしてきた。

「特にいや不満は無いんですけど、こんな、とても素敵な趣味を持って何年ぐらいなんですか?」

 オレは、嫌味を込めて、聞きたくもない事を質問する。

 まあ、不満って言うか、別に趣味だからいいんじゃない?って感じだ。

「俺様の趣味は、まだ15年ぐらいだ。それが悪いかよ!」

「い、いえ・・・別に」

 ほほーーっ、15年も、こんな趣味持っているのかぁ・・・

 そっかあ15年かあ・・・

 それで、一体いくつなんだコイツは?。

 オレは思わず聞いてみる。

「えっと・・・今、いくつ何ですか?」

「俺様か?俺様の歳か?若干まだ26歳だ。それがどうした?」

 そっかぁ、まだ26歳なのかぁ・・・

 はぁ?26歳?。

 26歳かよ。

 オレより年下だと思ったら、年上かよ!。

 まあ、オレの本当の歳も定かではないが、コンビニの店員にしては礼儀の知らないヤツだし・・・もうこのまま、タメ口野郎でいいかあ、面倒くさいし。


 ふとオレは、タメ口野郎の年齢を逆算してみた。

 26歳で、15年前だから・・・えっ、11歳の頃から?

 11歳からヲタク道まっしぐらなのかww

 わぁ、何気に長いなあww


「えっ?11歳からの趣味なんですか?」

 思わず聞きたくもないが聞いてみる。

「はぁ?!。なんだよ!わりぃぃーーかよ!」

「い、いえ、別に・・・」

 本当に、マジにムカつくほどに付き合いにくいヤツだ。

「俺様は、ちょっとする事有るから、ゆっくりと部屋の中を見ていてくれ・・・おまえになんか部屋の案内はしたくないからな 。ご自由に見てくれ!。じゃあな!」

 本当に、いちいちムカつく言葉遣いだ。

 きっと、バールのような物が近くにあれば、多分殴っていたかもしれない。


 ----そう言って、タメ口野郎は後ろを向き、居間へと向かい、引き戸の押入れを開けた。

 えっ?、

 おお!

 なんか、パソコンがたくさんあるぞ!。

 押入れに置かれた四台のパソコンに目が行く・・・全部ディスクトップかぁ。

 で?、ノートパソコンは無いのか?。

 見渡す限り、ノートパソコンは一切見当たらなかった。

 まあ、ノートパソコンよりもディスクトップは安いからね。

 部屋で使うぐらいだと問題はないよね。

 でも、何するんだよ四台もww


 しばらくの間ずっと見ていると、オレはやっと気づいた。

 押入れが、机代わりになっている事を。

 これは、部屋の中の狭さを利用した、賢いやり方ってやつだね?。

 まあ、タメ口野郎に、見た目は賢さは見えないけど、きっと賢いかも知れない。

 まあ、どうでもいいんだけどね。


 タメ口野郎がスイッチを順番に入れると、

 次々に四台のパソコンのモニターに全部別々の画面が映し出された。

 

 一台目のパソコンのモニターには、グラフィック?ポリゴンの基礎ワイヤーの画面。

 3Dソフトで何か創っているのか?

 多分、何かの特撮のヒーローやヒロインを自分なりに3Dのグラフィックで創っているのだろう?・・・でも凄いなぁ、かなりの容量が要るようなワイヤーフレームで人体模型のようなを創っているし・・・

 これが、おそらく才能ってやつなんだな?。

 

 二台目のパソコンのモニターに、何か映し出されている・・・

 何かのホームページのようにも見える。

 これは、タメ口野郎のホームページなのか?それともブログなのか?。

 おそらく、特撮関連のホームページかも知れない。

 三台目のパソコンのモニターには、映像が・・・DVDを見ているのか?。

 それもまさしく特撮の映像だし・・・。

 四台目のパソコンのモニターには、・・・ゲーム画面?

 ゲームしながら、ホームページに書きながら、DVD見ながら、グラフィックを創っているのか?

 す、すっげーー器用なヤツだなww

 ・・・ながら生活とは言えど、とても器用なヤツだ。

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