第26頁目 ― 10 ― 誰? ―  

   ― 10 ― 誰? ―


 ドアを開けて、部屋の中に入ろうとすると、

 外から、どこからともなく聞こえる気合いの入った掛け声。

 外をキョロキョロと見渡し、声の聞こえるほうを探す・・・

「ずいぶん気合いの入った掛け声だな。どこから聞こえるんだ?」

 けたばかりのドアを閉め、鍵を掛け・・・階段を降りる・・・


 階段の前に立ち。キョロキョロと探す。

 林に囲まれた、ボロアパート。

 『 えいっ! 』『 やーー! 』と気合いの入った掛け声が林に響き渡る。


 足を進め、怖いもの見たさに歩くオレ。


 ・・・かなり林の奥まで来てしまった。振り向くとボロアパートも米粒程度の大きさに見える。

 そしてまた、林の奥へ奥へと足を進める・・・

 もう昼だと言うのに、木々の葉が太陽を隠し木漏れ日にして、薄暗い雰囲気になっている。

 ・・・まるで、樹海に来ているようだ。

 林を過ぎると、森になっていた。

 足音を近づかせながら、掛け声に近づく。


 なんて言おうか?ボロアパートからこんなに遠いのに、あの響き渡る掛け声の持ち主って誰なんだ?


 近づくと、『 ドスッ !』『 バスッッ! 』と何かを叩くような?しばくような?殴るような?鈍い音が聞こえる。

 ・・・あっ、見つけた !。

 オレは足を止め。思わず杉の木から、そーーーーーっと、覗く。

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