第64話 我が社はアフターサービスも万全です
今の現場がある程度進み出した頃、Iさんとやった現場はすでに引き渡しが完了し、工場も稼働しています。
すぐ近くとはいえ、用がなければ行くこともありません。
行く用はないに越したことはないのです。
どうせ、ろくな用じゃありませんから。
しか~し、ついにその用がやってきた!
私はSさんといっしょに呼び出しを食らいます。本来ならIさんがいくところですが、彼はこちらの仕事に向いていないと判断……いや、上から日本国内での仕事を熱望され、帰国しておりました。
行ってみると、配管の中に防水層のはがれたものが詰まっていました。
どうやらそこは軽い酸性の液体が通る配管らしいのですが、タンク内の防水が酸のためにはがれ落ちたようです。
その防水は耐酸性とカタログにはうたってありました。
酸性値が想定より強かった?
正直、原因はよくわかりませんでした。メーカーがいんちきだったのか、想定外の使い方をしたのか、打ち合わせのミスか、施工が悪かったのか?
「う~ん。なぜでしょうねえ?」
とSさんが首をひっているので、私も合わせて小首をかしげます。
すると担当者、キレました。
「なぜかって? おまえらがいい加減だからだっ!」
原因がなんであれ、もう直すしかありません。それも大至急です。
今やってる現場の作業員を呼ぶと、タンクの中の既存防水をはがし、新たな防水施工を開始。
もちろんべつの工法です。
「南野、終わるまで帰るなよ」
Sさんのありがたいお言葉に励まされ、最後まで立ち会いました。
乾燥期間を含め、朝までかかりました。
完徹です。
Iさんめ!
いや、誰のせいかはわかりませんが、だいたいこういう場合、いない人間のせいになるものです。
ともあれ、我が社ではアフターサービスにも力を入れております(ほんとかよっ!)。
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