第60話 南野、出世する
正月休みが終わり、再び現場が始まります。ええ、あのIさんの現場はまだ続いてます。といっても、もうほとんど終わりですけど。
監理者も正月明けに現場を見に来ましたが、なんとお土産を買ってきました。
某ブランドのウエストドバッグです。
え、こんなのもらっちゃっていいの?
さすがにIさんも、同じことを思ったらしく、「こんな、いただけませんよ」と辞退しようとするも、監理者さんは引きません。
「いや、ずっとお世話になってたから。まだ終わってないけど、無事問題なく竣工しそうだし、これくらいはさせてくれ」
「わかりました。では、お言葉に甘えまして、ありがたく使わせていただきます」
ええ~っ話やっ!
というわけで、私もありがたく使わせてもらうことに。
(ダイビングのときに、つ~かおっと)
そして、じっさいたいした問題もなく、現場は竣工に向けて突っ走るのでした。
さらに竣工後まもなく、ここのすぐ近くで新しい現場が始まるらしい。
スタッフも今のメンバーがそのまま、そこに移動になるとか。
つうことは、またしてもIさんの下か。
(まあ、英語はできんけど、悪い人じゃないしな)
……と、ひとりで納得していると、支店からSさんが現場までやってきました。
「南野、今度の現場、おまえがやれ」
「は?」
「おまえがプロジェクトマネージャーだっ!」
おおお?
こっち来てから、一年以上ずっとアシスタントばっかりやってきたのが、ついに来たっ!
プロジェクト・インチャージのトトが挨拶してきます。
「よろしくお願いします」
「おお、こっちこそよろしくね」
出世したはずなのに、ちっともかわりばえしないな。
最大の違いは、Iさんがいないことだ。
もうあの「I」nglishを聞くこともないのかと思うと、ちょっとさみしい。
もっとも、トトは「I」nglishから解放されて、大喜びのようですが……。
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