第33話 さぁ、制作を始めよう!

 

 「おらぁああ!!はよ、はじめっぞコラァアア!!」

マリオ描くぞダラァアア!!


「な、なんでそんなに、テンション高いんだ?彼方」

「はっ!愚問だな。我が、盟友よ!」

先輩との約束のためだっ!!


 「アロラちゃん、こいつどうしたの?」

「さぁ、どーしたんでしょーねー」

そっけない女神様に落ち込む山田。

 「ほら、美術部って誰だぁ?」

だが、俺にはそんな二人を気にしている余裕はないっ!

マリオを描いたら、東先輩のご・ほ・お・びデスッ!

イエアッ!!

「あ、美術部って僕なんだ」

「・・・え?お、お前?」


天童。


天童、その人だった。


「え?何お前。美術部だったん!?」

「う、うん。まぁね」

取ってつけたような設定追加されたな、お前!

「他には?」

「え?」

「お前以外の部員だよ」

「いないよ?」

え?

「美術部、1年生は僕一人だよ」

「・・・・・・・・・マジ?」

「うん、マジ」


 少ねぇぇ!!美術部人気ねぇの!?

・・・まぁ言うてイラスト部も俺とアロラ二人だけだけどな。


 「まぁ、いいや。とりあえず、描くかマリオ」

「そうだね、描こう」

 だが、絵を描くときに問題となるのは、構図だ。

まず、構図を決めなければ描き始めることすら出来ない。


「アロラぁ!なんかいい構図とか思い浮かぶか?」

仮にも女神だし、イラスト部で見てきたアロラの絵は結構上手かった。

毎日10枚のノルマも楽々こなしてたしな。

「そう、ですね。マリオと言えばクッパ。じゃあマリオとクッパが対峙している図はどうでしょうか」

「あっ!それいいね!」

天童もそれがいいか。

確かに、格好いい感じに描ければ中々良い出来になりそうな構図案だな。

「じゃあ、紙を半分半分で分けて、片方にマリオ。もう片方にクッパでいっか?」

「そうだね、例えば、こう、紙を対角線のところで・・・」


 そんなこんなで構図は決まり、俺達はペンを手に取った。


「アロラって、マリオの顔とか分かるっけ?」

「はい!彼方さんのWiiUを借りてずっとやってましたから」

いつやってたんだよ!?

俺は見てないぞ!夜か!?夜にやってたのか!?


「いやぁ、アロラちゃんは何でも知ってるねぇ」

あ、馬鹿山田!その言い方は!!

「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」

はぁ・・・・・・・・・。

ほらな、元ネタ知らないクラスメイト達の目が点だよ。

 鍵浦と天童の目は輝いてるけどな。


「天童も分かるか?マリオ」

「うん、僕も結構やってるしね、ゲームとか」

んじゃ、大丈夫か。


 アロラと天童はクッパを。

俺はマリオを描き始める。

 俺達の文化祭が始まった。


 さぁ、始まりの終わりを始めよう!


「あ、それどこから取ってきたんですか?異能バトルですか?」


 てか、アロラ。いきなり人の心に対してコメントすると状況を掴めてない周りの奴らの目が三白眼の如く点だよ!




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