合宿、月、2日目

第16話 合宿1日目・終

 なんとか勾玉作り終了。

勾玉、といえるほど形は整ってないが、まぁ頑張ったほうだろう。

うん、なんかホームベースみたい。


 作り終わった?勾玉を手の上で転がしながら、部屋に戻る。

今から風呂の時間だ。

1組から順に入っていく。

俺達のクラスはまだ先だが、はやくも浴槽に向かおうと用意しているヤツが1人。

「おい、山田。何やってんだ・・・・・・・・・」

「ん?決まりきったことを聞くなよ。・・・・・・・・・覗きだよ」

・・・なんだそのドヤ顔。

「いや、やめろよ?マジで」

「おいおい、彼方。お前そんなんでちゃんと男子なのか?覗きは漢のロマンだろ!」

漢字、男!漢!!

というか、俺はちゃんと男だよ。

 イケメンな顔でこいつは何を・・・・・・・・・。

だから、こいつは残念なんだ。

モテてるのに・・・・・・・・・。

クソォ羨ましいヤツ・・・。


 とりあえず、颯爽と女子風呂に向かおうとする山田を全力で止めておく。

「おい!!おいおいおい!離せ彼方!俺は覗きに行くんだぁあっ!!覗きはぁ!それは僕たちの奇跡!!!」

アイドルアニメ入れてくんなっ!!

「俺は覗きに、彼方の命を賭けるッッ!!!」

「いや、俺のかよっ!!?」

 なんて友達だ!


 お風呂は、山から下が一望できる露天風呂だった。

隣に女子風呂がある、っていうのは想像しないようにして、今日1日の疲れを癒やした。

 なかなか、いい湯だった!

少しおっさんくさいか?

風呂からあがり、部屋にあった寝間着(着物みたいなあれ)を着て、廊下にでた。

ーーーちょっと夜中飲むヤツでもなんか、買っておくか。

自販機に向かう。

「・・・・・・・・・あれ?彼方さんじゃないですか」

そこには、同じく寝間着姿のアロラがいた。

「彼方さんも飲み物を?」

「あぁ、そうだけど・・・」

アロラはその手に『グレープ スパーキング』を握りしめていた。

・・・・・・・・・多分ブドウジュースだろう。炭酸の。


「・・・少し、休憩していきませんか?」

アロラの提案で外にでて、近くにあったベンチに腰を下ろすことにした。



 星が・・・奇麗だ。

「星が・・・奇麗ですね」

「・・・・・・・・・あ、あぁ。そうだな」

心を読んだのか?

「彼方さん、見て下さい。月も・・・月が、奇麗ですね」

少しだけ、哀愁漂う雰囲気の中でふわりとそう言ってくる。

「そう、だな・・・」

こいつは、その意味に気付いているんだろうか。


 いや、まぁ知らないんだろうけど・・・。

そんなことを言ってくる・・・理由が、ないしな。

だって、俺達は本当につい最近出会ったばかりなんだから・・・。

 しばらくの間、無言の時間が続いた。


 「そろそろ戻りましょうか」

「あ・・・そうだな・・・・・・・・・」

俺達はそれぞれの部屋に戻った。


合宿1日目、終了だ。

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