世にはびこる異世界転生ものを逆手にとった感じでタイトルの時点で既にうまいなと。二度は使えぬネタだと思いますのでせっかくならばタイトルから離れた部分がもう少し見たかったと思ったりもしました。コロンブスの卵のように思いつきそうでなかなか思いつけない部類だと思います!
トラックで轢いた人間を転生させる能力を持った主人公。彼にとっての悲劇は、その能力を自覚していなかったこと。彼は語り掛ける犬を幻覚とし、次第に追い詰められていきます。だけど、彼を真に追い詰めたのはその事実だけではなくて―転生トラック、と揶揄されるほど、ラノベ界隈に浸透した『トラック事故による転生譚』。この作品はそれらへのアンチテーゼであり、実にメッセージ性の強いものだと思います。安易に転生トラックを材料にした諸兄は反省すべし、と。
いわゆる転生トラックネタだが良くある異世界に行くと承知の上で嬉々としてあるいは淡々と轢き殺す話や普通に死亡事故を起こした扱いではなく少々捻った展開になっている。普通に有罪になっていればあんなことをするハメにはならなかったんだろうが。
トラック運転手視点から見たトラック転生のショートショート。異世界+ギャグ風味の短編好きにおすすめです。
転生の鍵となり、現世に残されたトラック運転手の成れの果て。タイトルをまず見て、「そこに目をつけたか」と単純に驚き、感心してしまいました。人殺しとして世間に蔑まれる彼に、無慈悲に与えられる狂った指命。もうやめてあげてくれ、と狂おしく叫びたいです。