第一回戦開始

「はい、魔王様ありがとうございました。今回は勇者じゃなくて魔族会議ネタでせめましたかー」

「勇者もそう頻繁には来ないから、ネタの限度があるのだ……。それにしても、連続で披露するのは予想以上に恥ずかしいっ!」

「いえいえ、とてもいいネタだったと思いますよ! 魔王様にお似合いのネタでした!」

「どういう意味だコラ」


「ところで魔王、そのネタもあんたの実体験に基づいたのかい? 俺は魔族会議に出る立場じゃねぇから、よく知らねえんだが」

「待てサハギン。茶番終わったんだから、尋ねる時はきちんと敬った言葉を使わんかっ!」

「馬鹿野郎、一度弟子入りした奴との関係をそうそう断ち切ったりはしねぇよ。これからもこの言葉使いで面倒見てやるから覚悟しとけよ」

「そういう真面目さはいらない。もっと我を魔王っぽく崇める真面目さを寄越せ」

「で、今のネタの元ネタは誰なんだい? 名前言えるなら言ってくれないか?」


「……神殿のボスとして左遷した後、第一回大会の優勝者になったあいつだ」

「まさかのB級竜」

「脳筋だったから、煽てられただけで調子に乗ってお笑い芸人になっちゃったんですよね」

「まさかの設定掘り下げ」

 ちなみに我が輩も、奴の部隊にいた時期があったな。あんな馬鹿トレーニングを二度と広めぬために、奴の洗脳や再就職妨害を積極的にやっている。

「さらに地位が低くなった理由まで掘り下げ。綺麗な三連コンボだな」

「インプの情報は、我も初めて知ったぞ。この邪神、私怨も強いな」



「……ではそろそろ本戦をはじめましょうか。サハギンさん、インプ様、準備をお願いしますね」

「あいよ」

 グガハハハ。期待して待っておれ。

「え、インプも普通に出るのか? 今回は進行役だけかと思ったんだが……」

 馬鹿言え。我のモノマネこそがこの大会の目玉であるのは確定的に明らか。我のモノマネなくして、この大会をビッグコンテンツにすることは出来ぬのだ!

「貴様の闇モノマネが、ビッグコンテンツへの障害になってるんだろうが」

「とにかくいつも通りのモノマネ大会、始まります! 皆さんがんばってくださいね!」

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