第23話 マーガレット

「マーガレット。元気そうだね」

「ええ。まだまだ若い人に負けないわよ。それで、決心はついて?」

「いや、その。もう少し待って貰えないかな?」

「ダメよ!。もうあなたへのリミットは近いわ」

 そこで、その女性はケンジの背中に隠れるゆりこを見つけた。まるで見えるように。


「あら、お知り合い?」

「あなたに紹介したかったんだ。アリスだよ」

「まあまあ、素敵なお嬢さんね。マーガレットです。よろしくね」

「ゆり・・あ、アリスです。よろしくお願いします」

「礼儀正しいのね、日本の方?。あらごめんなさい、つい勘ぐってしまうのよ。気になさらないで」


 ケンジはちょっと笑ってマーガレットは相変わらず勘がいいと賛美した。その他いくつか彼女の機嫌をとってから、ケンジはあの頼みごとを持ち出す。


「マーガレット、実はお願いが。彼女の能力が高くて、放っておくと危ないと思うんだ、どうだろう?」

「そうね。確かにアリスさんには他の人にない特別なものを感じる」

「あなたに助けて貰えないかと…どうだい?」

 マーガレットはケンジの肩を支えに、彼の背中にいるゆりこに近づいた。

「アリスさん。あなたが交感能力を使えるようになって、どの位経つかしら?」

「はい。4〜5ヶ月といったところです」

「そうね…。いいわ、任せなさい。これも私の仕事よ」


 ホッとしたケンジが嬉しそうに応える。

「ありがとう、マーガレット。恩に着るよ」

「そう言われると嬉しいわ。それにケンジ」

 マーガレットはケンジの肩に捕まる手を持ち替えて、再び彼について話し出す。

「あなたがどうやって彼女の能力を知ったか、察しがつくわ。心配なのはあなたも同じよ。早く私の元へいらっしゃい!。これはあなたのためよ」

「ああ。ありがとうマーガレット。考えてるよ。あなたは本当にいい人だ」

「私たちがもう少し早く出会っていればねえ。急ぐのよ」

「はいはい」

 参ったな、と言わんばかりのケンジ。


「アリスさん」

「はい!」

 急に呼ばれたので、今度は自分に説教が及びはしないかとドキドキした。

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