第71話 瞑想から訓練。
ご丁寧に設置された的や、休憩に使えそうなベンチもあった。
野外であり簡易的に柵で仕切られただけの広場なんだけど、訓練場としては充分なんだろう。
木刀などもあったので自警団のみんなが使えるようにしたのか。
今はまだ僕とカインさんしかいないけど。
まだデリカ先生は来ていないけど前準備として精神統一、瞑想してみようかな。
ベンチに座ってやってもいいだろうけど直接自然のものに触れるのがいいような気がして、地面にじかに座ることにする。
「………?」
カインさんが不思議そうに見ている気配を感じるけど止められはしないので、そのまま丁寧に整地された土の上に正座をした。
なんとなく背筋が延びるのはやっぱり日本人の
手を膝の上で揃えて座って目を閉じると、足に当たる土の感触、頬に触れる風の感触、全身に降る日光の暖かさなどを感じる。
それらを素直に受け入れるように緩く手のひらを開いて膝から上向けて深呼吸。
吸って、吐いて、吸って………。
雑音が消えて、自分の呼吸、心音を聞くように。
すると自分の中にある魔力が存在感を増していく。
お腹の下の方から血流に乗って手足の先、頭のてっぺんまで行き渡り巡っていくようなイメージ。
透明なのから虹色へと眼裏に色の奔流が見えるようだ。
そうして全身に行き渡るとゆっくり目を開いた。
「………見事です」
すぐそこにデリカ先生が立っていた。
「きれいに魔力が整っていますから、次の段階へ進みましょうか」
「っ、はい!お願いします!」
「ええ、ではどうぞこちらへ。無属性の魔力を発動する…は、できるのでしたか?」
そういえば光属性と言うことになったけど魔拳銃は無属性で使えるんだっけ。
でも意識して使ったことはないし使える方が良いよね?
ちらっとカインさんをうかがうと小さくうなずいてくれた。
「教えてもらえますか?」
「では無属性の魔力を練ってそれを放出してみましょう」
訓練場の中央に移動して立つ。
「自分の体内の魔力は意識できましたか?」
「…はい」
温かい流れる力を意識すると呼応するように存在感が強くなる。
「ではそれを全身から一点、例えば指先に集めて…」
「……」
指先…右人差し指でいいかな?
急激な流れとなって集まってくると指先が震えた。
「…ッ、待ってください!」
「え!?」
びっくりして集中が切れてしまい、指先の熱が飛ぶ。
……………ちゅっどーーーーーん!
「……………」
「……………」
「……………ぁう」
またやってもうた。
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