第70話 魔力操作、最初の教え。

 何故魔力操作を学びたいのか?

 それは大き過ぎる魔力を暴走させないため。

 或いは適切な量の魔力で魔法を使うため。

 そして一番に毎日のお風呂のためである!

 いかにお風呂が重要か…清潔を保つことは疫病などの抑制にも繋がる事、リラックスすることが精神衛生的にも有効でもある事、何より心地好いということを説くこと一刻(一時間)。


「………そうですか」

「そぉーなんですっ!」

 熱く語る僕になかば呆れた目をしつつも最後まで聞いたデリカネーヤさんは頷いた。

「…わかりました、その力を暴走させるなどあってはならないことです」

「ああ、それはあってはならない。彼を守るため…頼めるか」

「えっあの」

「ええ。引き受けましょう、基本操作ができれば良いのですね?」

「むしろ応用は教えない方がいいと思う」

「ええぇっ」


 僕を抜きにして進む話におろおろと隣と前に視線をさまよわせる。

 とりあえず気を落ち着けようとお水に口をつけた。

「利益があることはわかりました。あなたに学ぶ熱意があることも。教えることに否やはありません、がその後何を成すか、結果が何をもたらすか。魔法は力。純粋なる力です。それを理解して使用してくださいね?」

「……………はい」

「それこそが魔法の基礎の基礎であり最たる重要事項ですよ」

「はい!」

 精神論ではあるけど心構えとして重要というだけじゃない。

 魔法はイメージで使うもの。

 つまり精神状態が顕著に反映されてしまうのだ。

 だから精神が乱れていれば魔法も乱れ暴走する。

 本質的な意味での基本であり根幹となるのだ。

 決しておろそかにしてはならない。

 まずは精神統一、集中し練習は瞑想から始めること、ということだった。


 保護者であるガザシ父さんに魔法の練習を本格化することを報告したら、次の日には自警団寮から近いけど街から少し離れた所に訓練場と称する広場ができてました。

 ガザシ父さんェ………。


 ………ありがたく感謝して使わせていただきます。


 で、早く覚えたいので休日返上して練習に来たんだけど。

 護衛としてついてきてくれたカインさんは魔法を使えないらしい。

「え?魔力は……」

「一応あるよ。生命体として必要なぶんと言うか、最低限かな?」

「は、はぁ、そうなんですか…?」

「うん、まあそんなに不便でもないんだよ。魔道具に込める魔力くらいはあるからね」

「へぇ…」

 基本的にこの世界の人間はみな大なり小なり魔力を持っていると聞いていたので、不思議だったんだけどこの時はあまり気にしていなかった。

 すぐにデリカネーヤさん…デリカ先生に魔法を教わることに集中していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る