第68話 伐採は計画的に。
王都からの物資支援により、ナンオウは建設ラッシュとなった。
まず大事な食事処、市場から商店街、宿屋。
新たに作られることになった教会前の避難所兼甘味処。
それらの建築に伴ってあぶれていた人が雇用され、給料は先払いで少ないながら王都使節団が出すことになり街の住民は驚喜する。
建材は使節団の持ち込みぶんだけでは足らずに、自警団は追加の建材を魔物討伐のついでに採取することに。
採取は一気にやるとこの土地の資源が枯渇しかねないのである程度の間を開けて、更に王都からも別に送ってもらう。
まあそのための使節団だ。
ただ建設のスピードが異様に早いので追い付かないのだった。
というわけで今日は討伐&採取任務です。
役に立つだろうとの事で魔法部隊長デリカネーヤさんも一緒に来ている。
目的地はまたも山、である。
そう聞くと木を伐採すんの?とお思いだろうけれど、ノンノン。
ここは異世界よお嬢さん?
木ではなく魔物です。
「うりゃあーっ」
バキバキッずごごごーん
「とぉりゃーっ」
ドカゴキずどーーん
「そぉーれいっ」
バキャァッずだだーーん
……………魔物です。ドライアドっていう。木の魔物。
自警団で仲良くなったお兄さんたちが力技で倒しまくってるけど。
ここの山にドライアドは群生してて、日本の竹の子のようにすぐに生えてくるそうなのでこのくらいは平気みたい。
悲鳴(口あるんだよドライアド)を上げる間もなくローリングエルボーだのドロップキックだのフライングヒップアタックだので倒される弱い魔物のドライアドに、ちょっぴり気の毒になったのは君と僕の内緒にしてね。
お兄さんたちはこの世界の人であって日本のプロレスファンでは無い筈…、うん久しぶりにお母さんにメールして最近のナツコの写真送ってもらおっかなふふふ。
「おやおや、ガザシの指導の賜物ですか?それともふざけてるんですか?力技ばかりではいけませんね」
「「「うっ」」」
思わず遠い目になっていたらデリカネーヤさんが口撃を始めた。
「お兄さんたち…ふざけてたんですか…」
僕も追撃と冷たい視線で言うとお兄さんたちは慌て出す。
「「「いや、違うんだ!」」」
「どうだろうな、でもどちらにしろガザシに報告はさせてもらうよ?」
更にカインさんが告げれば余裕過ぎて遊んでいたお兄さんたちもついにはorzになった。
「「「ガックリ」」」
「ですがこれで必要量の半分は採れたでしょう。後の半分は私たちでやりましょう」
「っ…はい!」
戯れもここまでとばかり杖を持ったデリカネーヤさんに、今まで見れなかった王都の魔法使いの本領発揮を期待する。
ナンオウの人も魔法は使えてたし大工さんたちの土魔法も凄かったんだけど。
攻撃魔法は見てないんだ。
僕だって男の子ですものちょっとドキがムネムネしてしまう。
「とりあえずそうですね、あと十本行ってみましょうか…」
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