第52話 ゾンビ肉はローストビーフ。
改めてゾンビ熊栗鼠の肉を出してカインさんに担いで運んでもらい、僕はついでに狩っていた小さめの
帰りに二匹だけ出てきた小型の魔物にゾンビよりはマシだと感動したんだけどね…。
これがのちに少なかったからだと思い知るのはもっと後のことだけど、群れで連携して延々大量に飛びかかってくる角兎は本当に質が悪い。
肉質もあんまりよくないものらしいからまた面倒だったらしいんだよね。
でもそれは過去のこと。
この角兎、解体した肉が牛すね肉とか牛テールみたいだったんだ。
だから時間をかけて煮込むことを提案したら案の定ホロホロと口の中でほどける美味しいスープになった。
そしてゾンビ肉はなんと熟成肉!
ミディアムレアくらいに火を入れればローストビーフみたいになって美味しかった!
ゾンビ化した魔物はそんなに出現率高くないらしいけど疲れや痛みを感じにくいらしく倒すのも一苦労で厄介なんだとか。
その肉がまだある(もちろん別の場所で保管してる設定)と言ったら大騒ぎになった。
亜空間収納がなくても騒ぎになっちゃったけど、カインさんがいたから不思議には思われなかったようだ。
残りの肉は自警団預かりってことにしてこれからの食事に取っておくことに。
ちょっと野菜が少なかったけど、外で大勢でいただく料理はとっても美味しかったよ。
ずっと僕の亜空間収納に入れておくのもこれから持ち出すとき不自然になってしまうので、本当に自警団本部に保管することにしました。
いざというときのために一部は僕が持ったままにしとくんだけど。
冷蔵庫ってものをこの世界で見てない(猫飯屋の厨房にもなかった)僕は保存状態が心配だったんだけど、ゾンビ肉は痛みにくいので保存するのも簡単なんだって。
むしろ火を入れたのより生の方がもつんだとか。
食糧難になりそうな今一番欲しいものだったんだ。
少しは役に立てたのかな。
本部につくと一階受付を通り越して一番奥にある倉庫に入る。
ガザシさんのお陰で顔パスです!
「じゃあこの辺にまとめて出してくれ」
「はい」
召喚者ってことはガザシさんには言ってないんだけど能力については暈しつつある程度話すことにしたので、目の前で小さな鞄から大きなゾンビ肉を出していく。
護衛はカインさんがしてくれてるけどガザシさんは保護者っていうか後見人になってくれたんだ。
ラノベとかゲームではよくあるギルド、僕はまだこの世界いや街で見たことがない。
それで身分証明っていうのがどうなっているのかを聞いたら、基本的に生まれたときに親が教会などを通じて国に住民登録するようなんだ。
僕は異世界から転がり落ちたようなもんだから、手続きなんてしてない。
もしまっとうに召喚されてれば神様から国に通達がいくもんらしい。
でもねえ僕はミストリップでしたからねえ。
なので、身分証明っていうか身元保証ってどうしようと唸ってたら。
息子になるか?って。
ガザシさんはこの街に居着く前に息子さんを亡くしてるんだって。
烏滸がましいんじゃないかと気後れする僕にガザシさんは、代わりとかじゃなく新しい子を迎える気持ちだから、と言ってくれた。
だからこれから僕はガザシさんの息子です!
「はい、これで大体十頭分ですガザシさん」
「かたいなあもっと気軽で良いんだぞ?パパで!」
「…ぱ、パパはちょっと」
でもパパ呼び強要は勘弁してください。
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