第49話 スプラッタはノーサンキュー!

 僕の祈りは通じなかったようです。むしろフラグ建てちゃったんですかね?

 普通初めてのおつかいってこんなハードじゃないよね!?

「ぎゃあああ!」

「っ落ち着いて!君の魔力なら余裕で勝てるから!」

「うぎゃーっあっち行けー!」

「ジュジュッ!」

 ゾンビ系の魔物に襲われてリアルバイオハザー○って誰得ですかあああああ!

 僕は美女でも美少女でもないし美少年ですらないただの平凡な日本人ですよー!?


 街を出て五六百メートルほどのところを街の外周に沿って歩くだけの簡単なお仕事、ついでに魔物が出たら狩っておくだけって話じゃなかったっけ。

 小型の野犬みたいなのとか鼠みたいな魔物って言ってたよね。

 それなのに、なんで熊並みに大きなゾンビ栗鼠りすに追いかけられてるのでしょーか!

 それも十数頭も!!

 しかも魔拳銃で撃っても撃っても新手が追いかけてくるんですが!

 お陰で射撃も魔力制御も上達したけども。


 キリのなさにイライラしてきたので一掃したい。

 周りに被害が出ないように指向性の光、レーザービームを想像して弾丸に魔力を込めた。

「いい加減に、しろおおお!」

「ジュッ!?」

 重なった的を射抜くように光線が走る。

 スプラッタはノーサンキューなので、傷口は焼けて血飛沫が飛ばない高温のレーザーにしてある。

 上手く複数の熊栗鼠を撃ち倒すとカインさんが前に出て最後の一頭を斬り払い、全ての魔物を倒した。

「はぁ…でかいだけで見た目は可愛いのに…怖っ」

「相手は魔物だからね、見た目で油断すると危険だよ」

「うぅ、わかりました…」

 額を軽くこつりとやられて縮こまる。

 ホントすいません。

 熊栗鼠は小さい個体もいてその可愛らしさで油断を誘い人間を襲うのだ。

 僕はまさにそれを体験したわけです。

 マモノコワイ。


「あー、反省したら次に活かそうね?皮は腐ってるから使えないけど他は素材になるから持ち帰らないと…」

 へこむ僕に気づいたカインさんは頭を撫でて慰めてくれる。

 もしかして癖になってるのかもしれない。

 でも以前の世界では居なかった兄弟ができたみたいで嬉しいから、黙っておこうっと。

 あ、解体するならあれができるかな?

「カインさんちょっと待っててください。んーと、あれはこう、水属性でこう、かな?」

 体液を水に見立てて流れを操り一点だけ穴を作りそこからきれいに抜いちゃえば。

「…え?」

「はい、血抜き出来ました!」

 吃驚してたカインさんだけど声をかけたらはっとしてそれも薬の材料になるからと取っておくことに。

 カインさんは取れる分だけでもと瓶を用意していたみたいなんだけど、量が多すぎて半分以上は土を掘って埋めました。

 何か…ごめんなさい。

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